第8話 変な人材が集まってくるんだが

「では、みなさんご苦労様です」


「あんたは何もやってないでしょーが」


「いえ、農作業をがんばっておりました」


「こっちは死にそうだったわよ」


 俺の発言に対して、怒りを表すのはフウであり、ジェラルド将軍はソファーで撃沈していた。

 ちなみに1日目のリサイクルドリームショップの品は全部売れた。

 売上は約1000億万Tとされ、もはや国を越えて大陸買えるレベルとなった。


「さて、俺はこの大金をどうすればいいか考えているんだが、まだまだ品はあるんだが、これやばくないか」


「あんたが一番やばいわよ、これだけの金額が動いているのに1人最高のトマトの種を植えてたんだからね」


「何を言うか、作物は早く植えないと早く実らない、俺には領地経営という命が」


「てか、食料買い占めたほうが早くないか他領地から」


 ジェラルド将軍がさらりととんでもない事を呟いた。


「そうしたら、他領地の食料が困るだろうが」


 意外と俺は優しかった。


「やっぱりあんたは馬鹿よ、だから戻ってきたんだけどね、じゃあ1000億万Tは領地を発展させる為に使いましょうか、あなたの等価交換なんたらでね」


「うん、そうしよう、その前にいくら建物建てても人がいないと機能しないし潰れてくんだが」


「……」


 フウは頭を押さえて悩み始めた。


「あのー」


 それはカフカ少年だった。


「ダンジョンから戻りましたーとりあえず5個程ダンジョンを攻略してマッピングしました。地図は冒険者ギルドで売りに出されてます。おかげで家も買えるレベルになったのですが家がないんですよねーあと冒険者ギルドが潰れそうで怖いです」


「ああ、そうだったな、家を希望する人には家を買ってあげるか、さて、等価交換」


「あんたね、私達がまだ話てるでしょ」


「わかったわかった。取り合えず、ジェラルド将軍には兵舎でも作ってやるよ、フウは何がいい」


「お、俺何も申してないが得しましたな、兵舎かー部下がいないのは悲しい」


「私はあんたのそばにいればいいわよ」


「そうかーありがとなフウ」


「もう」


「あのー人材なら外で長蛇の列出来てますが、あれリサイクルドリームショップで買い物に来てるって感じじゃないですよ、店長出してくれって懇願してますもん」


「そうかー取り合えず行ってみるとしようか、その前に冒険者ギルドとカフカ君の家を建てよう、いくら出せそう?」


「100万Tくらいなら」


「じゃあ、100万Tで買える家と、カタログを出すから、カフカ君が選んでよ」


「はい、これにします」


「では、どこが良い?」


 ワールドマップを発動させて、カフカ少年を驚かせる。


「なら冒険者ギルドのそばがいいのでここで」


「了解了解、さてと、ついでに冒険者ギルドを再現魔法で再現させてと、魔力がこれで尽きたから、また貯めないとな、じゃあ、俺とフウとジェラルドで人材を決めるぞ」


「了解したわ」


「はい、で、兵舎は?」


「それは後でやる」


「いえっさー」


====面接====


 今回人材で集まったのは10名。

 これから俺達は面接をしていって、彼等の強みを見つけていく訳だが。

 彼等の希望とする職業に出来るだけ配慮したい。


「頼もう」


 俺がどうぞという前に、勝手に入ってきたのは。


「破壊勇者クラウスだ。俺はこの領地がとてつもなく気に入った。戦闘なら任せろ、ジェラルド将軍の元で働いていた経験がある。将軍補佐などをしていたが、基本は戦闘代表だ」


「なるほど、採用です」


「はえーわぼけ」


 フウが突っ込んできた。


「何を言うか、勇者が来たんだぞ、もう採用だろ」


「私がいくつか質問するわよ、まずは冒険者ランクは?」


「S×10だぜ、恐らくそこの店長よりつえー」


「店長は★×3で神様が3人いる状態です、それでも強いと?」


「すみません、どうやら俺は雑魚のようです」


「よろしい、謙虚な魂があればなんとでもなるわ、あなたはジェラルドの犬となりなさい」


「は?」


「ジェラルドの犬としてがんばれと言っているのよ」


「つまり、部下としてだね」


 俺が追加で説明すると、破壊勇者クラウスが納得した顔になった。


「は、はい、これから働かせてもらいます。有難うございましたー、この領地の為にこの領主の為にいいいい」


 全力疾走で破壊勇者クラウスが窓から飛び出ていった。


「なぜに窓から?」


「きっとそういう気分だったのだよ」


 ジェラルド将軍の呟き。彼は破壊勇者クラウスの事をとても理解していた。


「では次の方―」


「ふふふ、私の出番だね、私は創生勇者バデットだ。貴公の水星の剣素晴らしい物だ。あれなら畑作業がはかどるというもの、まあ戦闘が基本だが、元々は農家の出身で働いていたら、いつの間にか、ふ、勇者になってしまっていたんだよ」


「採用」


「はえーわフウ、今回はあんたか」


「これなら畑作業に困らないわよそれに戦闘でも助かるわ、創生だから、水でも創生してくれんでしょ」


「いやー水星の剣でしょ、でも創生の力があれば増大されるのか」


「じゃが、大洪水を起こされたら畑所ではないが」


 ジェラルド将軍が冷静に突っ込んでくれた。

 彼は眉間に皺を寄せて、いかめしい表情を作っている。

 かつての敵が味方になる事の違和感に気付いているのかもしれない。


「ところで、バデットさん、創生勇者の創生ってどういう意味なんですか」


「それは創り出す事だ。自然現象をね、雨を降らせ、氷を降らせ、雷を降らせ、雲を実らせ、雪を降らせ、秋風を作り出し、春風を作り出し、夏を生み出す。季節を操る、そして季節を実体化し、武器化し、それを魔法と化す。破壊勇者の宿敵とは私の事よ」


「採用」


「いいのかい」


 最後にジェラルド将軍が突っ込む、またお前かと俺は思ったが。


「おめでとう、かつての敵は今や味方という事だな」


「よっしゃあああああああああ」


 創生勇者バデット、彼もまた窓から出ていった。


「勇者は窓から出ていくものなのか?」


「きっとそうなのよ」


 俺とフウは納得してきた。


「次の方どうぞ」


 どすんと音が響いた。

 扉がゆっくりと開かれて、1人の美少女?

 が入ってくる。

 フリフリのスカートを着用しており、頭には角が出ている。

 顔は漆黒に包まれており、次の瞬間ジェラルド将軍が抜刀していた。


「なぜ、魔王が」


「これは失礼だわねー私は魔王の娘だけど魔王になった覚えもないし、お父さんなんて大嫌いで勘当されてるしー」


「は、えーと魔王の娘のフーデリカさんですね、特技は?」


「右手が破壊で、左手が癒しです、要は右手で戦闘をして、左手で人を癒す事が出来ます。なので戦闘にも特化しますし、元々病院で働いていました、治療師としてです」


「採用」


「あんた鼻の下のばしてるんじゃないわよー」


 俺は今鼻の下を伸ばしていたのか!

 魔王の娘は見た目20歳くらいなのだが、美少女となっている。

 ふりふりのスカートはどうかと思うが。取り合えず、まぁ、夢世界ではこういう女性と出会った事はある。しかし、現実の世界では見た事も聞いた事も無かった。


「ジェラルド将軍どうおもう? って鼻血出してんじゃないわよ」


 フウは思わず鼻血で流血沙汰のジェラルド将軍にビンタをかましていた。


「すまぬ、女性の、こうエロいのは苦手というか鼻血が止まらなくなる」


「エロいって、ただスカートはいてるだけでしょー」


 フウよあれは結構エロいぞと心の中で突っ込む。


「さて、君はドクターはいない状況だけど、治療師としてお願いしたい」


「任せて」


「時には戦闘として民を守って欲しい」


「はいなのー」


 彼女は普通にドアから出ていった。


「次の方」


 次に入ってきた人に、俺達は絶句していた。

 なぜなら、フウの師匠であるカンスイ老師が入ってきたからだ。

 カンスイ老師。フウは元々別な土地に修行の為に出ていた。

 それも10年以上もだ。

 その為小さい頃から遊んできた俺にとってフウとの別れは悲しいものだった。

 

 老師は腰を曲げて、杖を突きながら入ってきた。

 彼の背中には沢山の荷物が背負いこまれている。

 看板が付いており【雑貨屋カンスイ】と書かれてあり。


 その時俺は何もかも察した。



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