第5話 最弱カフカは最強カフカ

「おい、おめー良い装備持ってるな、今すぐ脱いでくれよ」


 いかめしい若い冒険者がカフカ少年に声をかけた。

 

「え、えええええ」


 カフカ少年はびびっていた。

 彼は目線でユウの方を見た。

 だがユウはにかりと親指を上げてグッドスマイルを浮かべている。


「信じますよユウさん」


 取り合えず、破壊剣を抜き打ちざま、ぶんと振り回す。


「はははは、カフカが玩具の剣をふりまわぶ!」


 若い青年が後ろに吹き飛ばされた。冒険者ギルドの壁が破壊される。


「おい、ふざけんな、カフカの分際で」


「てめーらあいつの装備を奪うぞ」


 だが、カフカ少年は縮地の靴で瞬間移動さながら移動し。

 次の瞬間には剛力の腕輪で2人の青年を持ち上げていた。


「嘘だろ」


「なんだよこの怪力」


 カフカ少年は地面に向かって2人の青年を叩きつけると。


「この野郎殺してやる」


 先程の最初の青年が大剣を抜刀する。

 そのまま叩き付ける容量でカフカ少年の肩に落とす。

 のだが無敵の鎧の効果が発動して。

 カフカ少年の体を無敵のバリアが覆う。

 ある一定の攻撃なら防ぎ続けるそうだ。

 巨人のパンチでも防ぎきるそうで。


 大剣は半分に折れて冒険者ギルドの天井に突き刺さった。


 3人の青年達は腰を抜かして泡を食って逃げていった。


 他の冒険者達はその光景を唖然と見ていた。


 カフカ少年は人生で初めて、喧嘩に勝つ事が出来た。


「ナイスだ。カフカ、皆さまが見たのは、カフカ少年の力を引き出す装備です。これらの装備が欲しい方は大金を持ってリサイクルドリームショップに来てください。場所はエンカウンター領地です。今は留守ですが、しばらくしたら領地開拓の為に戻ります。後、これからカフカ少年はダンジョン攻略をする予定です。もし成功したら商品の出来の良さを確かめられるでしょう、では」


 冒険者達は大きな瞳でこちらを見ていた。

 

「そろそろ何かが動き出してもいいと思います。領地に戻ります」


「そうですか、ユウさん、また遊びに来てください」


「マックスギルドマスターこそ」


「あのーマックスギルドマスター移動届をお願いします。私はエンカウンター領地の受付嬢をやる事にしました。もちろん冒険者ギルドの、よろしくて? ユウさん」


 カフカ少年がそれを見ていて。


「なら、僕もエンカウンター領地に行きます。家ないんです。どうせ、家族もいないし」


「歓迎するよ、ちょうど今から戻るから一緒に行こうか」


「ちょ、ヒダリ君? それ本当かね? これ、困って、えええ、なら俺もいくよー」


「あんたが来たらここのギルドマスターいないでしょ」


 思わずフウが突っ込むのだが。


「いやー変わりはいるんだよ、俺、基本は研究だからさ」


 その場が静まり返った。

 1人の将軍が乱入してきた。


「ジェラルド将軍?」


「すまない、国王より勅令が来た。そなたの領地の将軍をやらしてもらう、これからは主殿だ」


「は、はいいいいい」


 カフカ少年は目まぐるしく動く状態から目が離せないと思い。

 それでもこのリサイクルドリームショップの店長が面白そうだった。



=====エンカウンター領地=====


 まず、リサイクルドリームショップの開店する前に、領地にはちらほらと俺の噂を聞いて集まってきた民がいた。

 彼等は畑が荒れ果て、建物が崩壊しそうな状態を嘆いていた。

 まぁ領主である俺の責任なんだが。


 冒険者ギルドは元々あったのだが、今にも崩れそうだった。

 取り合えず、宿屋だけは再現魔法で元の状態に再現させた。

 魔力が元々少ないので、魔法系統はあまり沢山使えない。

 魔力が戻るまでは、魔法は控えないといけない。


 それは夢世界で渡った世界に関係しているのかもしれない。

 魔力を鍛える夢世界にはあまり行ったことがないのだ。

 基本は体力だったり、攻撃力や防御力だったり、戦い方だったりする訳だ。


「宿屋にて戻ってきた少数の民5名は泊まる事にしました。元々この領地には10名程しかいなかったようで」


「その通りだジェラルド将軍、カフカ少年はどうだ?」


「彼は近くのダンジョンに潜ってます。マックスギルドマスターはここのギルドマスター就任という事になり、その補佐をヒダリ受付嬢がする事になる予定です。ただ。問題があり、冒険者ギルドは長らく使われておらず、崩壊の危機です。ユウ様の魔法で宿屋は再現されましたが、ユウ様はまだ魔法の乱用は出来ないご様子」


「そうだ。それで、リサイクルドリームショップを開きたい。品々は紙に書いて、値段を張り付けて配る。ジェラルド将軍、他領地に配るのを頼まれてくれぬか」


「任せてください」


 ジェラルド将軍は身一つでやってきている。

 元の部下達はマウンテン王国に残っており。

 一応エンカウンター領地はマウンテン王国の属領という形だ。


「開店日は3日後。それまでに、色々と設備を整えたい。等価交換を使う」


「等価交換?」


「お金と物を交換するんだ。カタログがあり、これはコレクターブックと同じように出せる」


 ぼん! と右手に収まる形で1冊の本が出現する。

 俺はその本のページを開いて。


「井戸が枯れているから、井戸を新しくしたい、穴を掘るのには時間がかかるから、1個100万Tで5個程設置しよう、200万Tで異世界鳥小屋を設置、1日で2羽異世界から召喚される。300万Tで異世界牛牧場を設置、これも満員30頭になるまで1日1頭異世界から召喚される。残り4000万Tかふむ1000万Tでワールドマップを購入と」


 空間をタッチするだけで、巨大なマップが出現する。

 それはこの世界の全ての地図だった。

 夢世界の物まである。


 自分が今住んでいる惑星をタップすると。

 次に当たりの地図が出現し。赤い矢印が自分で、そこをタッチすると。

 画面が大きくなり、エンカウンター領地の真上を表す。


「これは凄い」


 ジェラルド将軍が驚きの声を上げる。


「どこに井戸があれば助かる? ジェラルド将軍」


「そうですねーこことここです。宿屋と冒険者ギルドが近いのと、ここは荒れ果てた農地です。ここにもあったほうがいいですし、あとここもですね、最後はここです」


「助かる」


「いえいえ」


 ジェラルド将軍は頭をぽりぽりと掻きながら照れ臭そうにしている。


 タッチすると井戸が出現した。


 地球と呼ばれる夢世界でやったパソコンゲームを思い出した。


「少し離れた場所に異世界鳥小屋と異世界牛小屋を設置してと、残り3000万として、肥沃な土を購入しよう、面積的にここからここまでで100万か、高いのか安いのか分からないがいいや、作物は馬鈴薯だったな、これがあれば食料に困らないと農地だらけの夢世界の住民が言っていたな」


 取り合えずこのくらいにして、様子見ながら追加していく形にした。

 現在の残り額は2900万Tとなる。



 馬鈴薯の種はカタログで購入した訳ではなく、既にコレクションブックに数えきれない程持っていたからだ。

 

「では、色々な品々を物色してきましょうか、フウさんには安らかに眠りましたとお伝えください」


「それだと勘違いされるかとってもう寝てしまいましたか」


 俺は机に突っ伏しながら深い眠りに入った。

 きっと三日後にフウに叩き起こされる運命だとしても。

 それはそれできっと悪くない物なのだと思う。



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