第4話 冒険者ギルドで販売してます

 冒険者ギルドのヒダリ受付嬢は今日もいつもと変わらずに冒険者達を見送っている。

 エルフで秀才で何かの研究オタクのマックスギルドマスターは相変わらず隣の建物に立てこもっている。


「ちょっとおおおおお、また変な事を始める気でしょ」


「わりーかよ、リサイクルドリームショップの宣伝にはなー実演販売が良いんだよ」


「あんた冒険者じゃないでしょ」


「今から登録すんだよばーか」


「今ばーかつったわねええええ」


 なんだろうか、1人の男性と1人の女性が乳繰り合っていた。

 ヒダリ受付嬢は今年で30歳になるが、独身だ。男性経験はほぼ無い。

 悲しい事に目の前の乳繰り合い状態に羨ましさを感じていた。


「すみません、この馬鹿が冒険者になるって聞かないんです」


「へぇ、そうなんですか、あなたは?」


 ヒダリ受付嬢の標的は女の方だった。


「いえ、私はもう冒険者ギルドに登録しています、こいつです。頭悪そうでしょ」


「すみません、うるさい女が口走ってまして、それで、俺冒険者になれますか?」


「まずは鑑定してみないとだけど、この板に手を当ててください。そしたらデータが表示されます。スキル等は表示されず。ステータス表ですね、総合的に何ランクが向いてるが表示されます」


「それは面白い機械だな、誰が作ったんで?」


「私だよ、さっきからうるさくて研究の集中にならん」


 1人の耳が尖がっている男性、マックスギルドマスターがやってくる。

 彼は白衣を身に着けており、なぜかサンダルを履いていた。


 目の前の男性は機械に手を当てた。


「えーと、えーと、えーと、Sがひいふうみい、あれ、おかしいな、なんでSなんだろ、もう一度お願いします」


「えーと、んーと、えーと、Sが100個で、S×100? いやようく見たら、Sを越えて、★って、なんじゃこりゃ、★★★って神クラス? ありえない、ええええ、ありえないいいいいい」


「何を慌てておる、その機械は故障しとらん、つまりそこのおっさんは神クラスで神を3人融合させたくらい強いってまじかあああああ」


 マックスギルドマスターはそこにぶっ倒れて頭から流血沙汰になった。


 取り合えず、ヒダリ受付嬢がマックスギルドマスターの頭に回復ポーションをぶち当てて回復させた。


 ヒダリ受付嬢は眼を輝かせて、その男を見ていた。


====神の化物クラス====


 目の前のマックスギルドマスターと呼ばれた目の前のエルフを見ていた。

 俺の隣にはフウが座っている。

 

「すまないねーヒダリ受付嬢が驚き過ぎていたみたいで」


「いえ、どちらかというとあなたの驚き方にビビりました」


「ははははあ、恥ずかしいな―、先程伝令が来て戦争が終わったそうですよ10年間続いた。終わらせた人はエンカウンター領地の領主様でありえない力だったとか」


「あ、それ俺です」


「そうですかーって、まじかあああああああ」


 しばらくマックスギルドマスターは失神していたが、5分後には目が覚めていた。


「あなたの強さの秘訣は?」


「よく寝る事です」


「うん、大事だねって嘘でしょおおおおおおお、修行は? スキルは? 訓練は?」


「トータルで寝る事です。てか15年間寝ていました」


「そ、そうか、何かのユーモアなのかな? ってまじかい、もう驚かないぞ」


「それで冒険者にしてくれるんですか、そっちの方が重要性あるんですが」


「こっちとしてはあなたの存在自体が重要だが、もちろん冒険者ギルドになれますよ、カードも支給しましょう」


「助かります。後冒険者ギルドで実演販売をしたく」


「なるほど、商人でしたね」


「はい」


「で、なんで冒険者に?」


「乗りと気分です」


「ふむ、そうか、自分がバカなのかと今思っていたぞ」


「ははははは」


「ここに通ってる冒険者に無料で最高の武器と防具を提供します。1人だけです」


「ほう」


「最低ランクである事とダメダメの成績の人をお願いします」


「なるほど、装備が活躍すれば、あなたの領地に武器や防具を買いに来ると?」


「はい、その通りです」


「では一人心当たりがある。この少年だ。今から連れてくる、ヒダリ受付嬢あの子を探してきてくれ」


「了解しました」


 少しずつリサイクルドリームショップの宣伝が広がっていく。

 マウンテン王国の宣伝が終わったら、一度領地に戻った方がいいだろう、5000万Tあれば、色々と作れそうだ。


 スキル【等価交換】その世界のお金を消費して必要なものをカタログから購入する事が出来る。


「この等価交換のスキル覚えておいてよかった」


 スキルの書。または超能力の書、または覚醒者の書。

 夢世界の種類によってその力は違っており、俺はそれらを殆ど習得している。

 なぜ、寝ている時に鑑定されても気づかれなかったのか。

 この世界のスキルじゃないから表示されない。

 そういう当たり前な事だったのだから。


 しばらくすると1人の少年がやってくる。

 ヒダリ受付嬢が誘導してくれており。

 装備はひどかった。

 ぼろぼろの皮鎧に剣は包丁みたいな鈍らであった。

 顔は泥で汚れていた。


「ど、どどどどっど、してお呼びになられたので」


「カフカ君だ。冒険者ランクは最低ランクのF級で2年もずっとそれだ。スライム狩りを頑張ってるそうだよ」


「は、ははっはあはい、僕はスライムくらいしか狩れません」


「ではカフカ君、俺は今から君を超人にしてしまうが許してくれ」


「は、はい?」


「この縮地の靴、剛力の腕輪、無敵の鎧、破壊剣を君にプレゼントしよう」


 コレクションブックから次から次へと武器と防具を取り出す。


「す、すごい、アイテムボックスじゃないのか、それは」


「違いますよ、別な力です。この世界には存在しない力と言ってもいいかもしれませんねマックスギルドマスター」


「そ、そうなのか」


「ぼ、僕はこれで、最強になれるんですね」


「その装備で冒険者ギルドの酒場にて歩くだけでいい、そしたら、周りから欲しいと言われる喧嘩を売られる。後はぼこぼこにしてやりなさい」


 俺は口の橋を釣り上げた。


 フウはその表情を見て、はぁとため息をついていた。



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