第3話 リサイクル品実演販売
マウンテン王国軍の将軍であるジェラルドは300人の兵士の陣をしいていた。
カイガンセン王国軍の将軍であるガラルドは400人の兵士の陣をしいていた。
両方ともに完璧な布陣であり。
【分かつ草原】にて両陣営はにらみ合いを続けている。
二つの軍がぶつかり合ってもいつも決着がつかず、それを10年も繰り返している。
時には破壊勇者と創生勇者が現れて殺し合いを続ける。
ある種の殺し合いのスポーツとなり掛けている事にジェラルドは危機感を抱いていた。
兵士の数ではガラルド軍の方が100人多いが、ジェラルド軍は精兵ばかりが揃っていてなんとか成り立っている。
何を思ったのか、分かつ草原の真ん中を1人のおっさんが歩いてくる。
本を開くと屋台みたいなものが展開されていく。
「あれはなんだ?」
ジェラルド将軍は意味不明な顔を浮かべていた。
それはガラルド将軍も同じようだ。
「斥候調べてまいれ」
「御意」
1人の斥候がおっさんの所に向かった。
ちょうど1人の女性も走ってくる。
「あんた、バカなのおおおおお」
目の前でビンタされまくっていた。
斥候は近づいていいのか困った顔をしている。
ジェラルド将軍もまさか痴話喧嘩に巻き込まれるとは思っていなかった。
「だ、だって、実演販売が良いと思ってさ」
「だ、だからって、戦場のど真ん中で露店開きますかーアンタバカですかー」
「馬鹿で悪いかい、フウは危ないからあっち行ってろ」
「あんたが一番危ないわよ頭の方も危ないから、それにあんたの夢の世界は分かったけどあんたが無双みたいな力を持ってるなんてこの目で見ないと信じられないんだよ」
「はいはい、露店の邪魔だからねー」
「この野郎が」
どすんと地面を殴り、地面に巨大なクレーターを作ってしまう女性の恐ろしさに、ジェラルド将軍は引いていた。
斥候が戻ってきた。
「どうやらアイテムを売りに来たそうでして」
「ほう」
「エンカウンター領地の領主らしく、最近父親が亡くなり、家督を継いだそうでして、15年間眠っており、少し世間から離れていたそうで、とりあえず実演販売と」
「なるほど、してどのような品を」
「えーとポーションだそうです。神秘のポーションです」
「聞いた事ないな」
「今からガラルド将軍の指をもぐので神秘のポーションを飲ませ、指を生やすそうです」
「そうかそうか、って、なんだってええええええええ」
その時ジェラルド将軍は化け物を見ていた。
====夢見る化物====
「いっちにーさんしー」
「あんた何してんのよ」
「運動だよ、神秘のポーションを飲ませる相手が遥か向こうにいるからさ、突破しないと」
「あんた400人の兵士をぶっ飛ばす気?」
「悪い? 武器使うと殺しちゃうからさ、素手で、コレクションブックで身体強化されてるんだぜ」
「だからそれが意味不明だって、それに今回、勇者はいないけどさ、運が良かったのはどっちなのかなって」
「きっと勇者も忙しいんだぜ」
フウは、はぁとため息をついて。
「分かった、夢見る化物さん、ちゃんと働いてください、露店の神秘のポーションは守ってあげるから」
「ありがとう、フウは良い奴だな」
「あんたの素直な気持ちにいつも負かされるわよ」
「よし、体操終了。ちょっくら行ってくる」
「がんばってよ」
一歩一歩と歩き出した。
夢の世界である程度鍛えている。
それが現実世界に適応されているはずだとしても少しのずれが生じてはいけない。
「おい、お前、あそこで何をやってぎゃあああああああああああああ」
俺は1人の兵士の右腕を掴んで思いっ切り投げた。
空に吹き飛んでいく兵士はそのまま川に落下していった。
「敵だ。敵襲だ。1人のおっさんがやってきた。敵襲敵襲だあああああ」
矢が空を覆う。
全身を貫くはずだった矢は全身に突き刺さらない。
「そんな刃じゃ俺の肌は貫けないぜ」
「あいつ、バリアを張ってる模様、魔法使いですガラルド将軍」
「なんじゃとおお、全員、槍で殺せええええ」
ただ歩き続ける。
夢を見てきた。
沢山の夢を15年間見続けていた。
なんとなくリサイクルドリームショップを開いた。
領地経営って奴をやってみたいから。
兵士の顔面をぶん殴る。
真っ直ぐに後ろに吹き飛んでいく。
槍で腹を突き刺されるはずが槍が折れた。
「うっそーん」
兵士の悲鳴が上がり。折れた槍を掴んでまた空に投げる。
兵士事川に落下していく。
「お前等は邪魔だ。ぼけ、実演販売しないといけないんだよ、こちとら商人でな」
「敵襲だああ、化物が来てるぞおおお」
「人の話を聞けええええええ」
ほぼ無双。
おっさんが1人で暴れている状態。
それを見て感動しているのが、2人。
「嘘でしょ、本当だったのね」
「なんだあれは、あれが我が王国の領地の領主だと、すぐにでもスカウトせねば」
フウとジェラルド将軍であったが。
10年の戦争は幕を閉じた。
1人のおっさんの手により。
400人の兵士は再起不能状態。
それは精神的な意味合いでだった。
ガラルド将軍は怯えきって剣を掴んでいた。
俺はガラルド将軍の人差し指を折ってもいだ。
「ぎやああああああああああああああ」
その場に悲鳴が広がった。
「ちょ、やりすぎじゃ」
「メンドクサイから指事で、さて皆さん、種も仕掛けもございません」
兵士達400名沈没しており。
誰も見ていない。
ガラルド将軍は悲鳴を上げている。
ジェラルド将軍は遠目にガラルド将軍の人差し指から噴水の如く血が出て引いた顔をしている。
フウはと言えば真っ青になってる。
「この神秘のポージョンを掛けると、あらまー不思議」
人差し指が生えてきた。
まるで植物のように。
ガラルド将軍は失禁して気絶していた。
俺はガラルド将軍をお姫様抱っこして運んだ。
「なんだかシュールね」
フウはそれを見てそう言った。
ジェラルド将軍がガラルド将軍を受け取ると。
「神秘のポーションはどれくらいある、それとわが軍の将軍候補で入らないか」
「ポーションは数えきれない程あるので、欲しいだけ、1本100万Tですのでお安くありません、あと将軍の位はいりません、これから領地を開拓していかねばならないのでね」
「そうか、それは失礼した。では50個くれ、ここに5000万Tあるぞ」
「さすがはジェラルド将軍、準備がお早いようで」
神秘のポーション50個で5000万Tの儲けとなった。
「ジェラルド将軍、ぜひともエンカウンター領地のリサイクルドリームショップの噂を広めてください」
「もちろんだ。1人で戦争を終わらせた商人がいるとな」
「それは嬉しい限りです、ではフウ、マウンテン王国に入るとしましょうか」
「はぁ、あんたと一緒に冒険すると死にそうだよ」
「何を言いますか俺なんて死にそうになりませんよ、困ってるんですよ」
「はは、はははは」
フウは空しい笑い声を上げていた。
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