第9話 魔物の襲来

 今日は、親父に連れられ川に魚狩りの初練習に来ている。面白そうなのでファルにも声をかけたが、あいつはもう少し寝てから来るそうだ。今日は、弟にカッコいいとこを見せて仲良くなるチャンスなので、気合を入れて準備をする。体が汚れてるとかっこ悪いので、あいつらが起きる前に水浴びをした。川に着いて、早速雷魔法で一気に終わらせるつもりだったのに、親父に止められた。

仕方ないから、自力で捕ることにした。地竜と水で遊んで、弟と魚捕りで勝負する。引き分けにされたが、絶対俺の方が早かった!その後も枝集めで勝負になったが、スピード勝負なら俺が有利だ。俺はよく母さんの手伝いしているから、どの枝が使えてどの枝が使えないのか分かっている。なので使えない枝をかき集めて、あいつが集めやすくする。親父は枝を見て察してくれたのか、ギルスに勝ちを言い渡す。親父が魚の鱗の剥ぎ方を教えてる最中に、手慣れている俺は剥ぎ終わって魚を焼き始めた。焼き終えた魚を鱗剥ぎに手こずっているギルスに渡し、途中までやってあった鱗剥ぎをやる。ギルスも美味しそうに食べているので、俺は満足だ。楽しい一日を終えて帰宅をする。魚効果があったのか、弟が並んで歩いてくれるが・・・・幸せで平和な時間が終わりを告げる。群れで2番目に足が速いレジスがやってきて、思いもよらない報告をする。


レジス「ハァハァ、アルファー!

ヴォルク「レジスか、急いでどうした?」

レジス「家族水入らずのところすみません、パック群れの近くに魔物3体でました!」

ヴォルク「なんだと!?今3体と言ったか?!」

雷尾「親父!質問は後にしてくれ、早く行って!」

ヴォルク「あぁ、そうだな、すまん行ってくる」

雷尾「レジスさん、親父を任せます」

レジス「ああ、任せてくれ。では失礼します」


親父達を見送って、今度は弟たちに指示をだす。地竜には何を言えばいいのか考えたが、だめだな。こういう時カッコいいことが言えない自分が情けない。


雷尾「ギルス悪いが、地竜を連れて避難所に行ってくれ」

闇胡「お前は、どうする気だ?」

雷尾「ほかにも魔物がいるかもしれないから、あたりを探索してくる」

闇胡「戦う気だろ」

雷尾「・・・・」

闇胡「俺も行く!」

雷尾「だめだ!誰が地竜を守るんだ!」

闇胡「・・・・」

地竜「僕なら大丈夫だから、兄貴も行ってください!」

雷尾「・・・すまないな地竜。道中に魔物出たらお前ひとりじゃ勝てないだろ。お前を一人には、出来ない」

地竜&闇胡「・・・」

雷尾「2人2匹ともすまないな。傷付けるようで悪いが、地竜が心配なんだ・・・」

闇胡「・・・分かった」

地竜「兄貴・・・ごめん」

闇胡「行くぞ」

地竜「・・・うん」

雷尾「地竜を任せるぞ」

闇胡「・・・ああ」


情けなさから逃げるように走り出し「ブースト瞬雷脚!」

俺は、魔力量を考えずにひたすら走った。しばらく探し続けるてると、3体の魔物を見つける。このまま一気に行こう!一体目!「雷狼の鈎爪!」2体目「雷狼の咆哮!」残り1体。最後の1体はゴリラ族の形だった。見た目からパワー型みたいなので、うかつに近づけないな。まぁこいつも雑魚だろうし、気にしすぎか?「雷球サンダーボール!」・・・あれ?威力が弱かったのか、当たるなり破裂したように消える雷球。魔力使いすぎたから、温存したいんだけどなぁ。しょうがない威力上げるか、「雷狼の咆哮」グハッ!・・・?何が起こった?なぜ俺が吹き飛んだ?確認するように起き上がってみると、さっきまで俺がいたはずの場所にゴリラの形をした魔物が立っていた。4体目?「雷狼の鈎爪!」俺は思いっきり突進しながら攻撃をするが、こいつ・・・魔法がきかない?!「ガハッ!」鈎爪を腕で防がれ、そのままぶっ飛ばされる。その勢いでおもいっきり背中から木にぶつかる。まずい、魔力切れだ!一撃で決めないとやられる。いうことを聞かない足で震えながら立ち上がり、魔物を睨みつける。

チャンスは一回、どうすればいい?考えていると、魔物が突進してきた。どうする?!一か八かで残りの魔力を練って、無属性魔球を放つ。避け・られた・・?魔物は魔力を拳に集める。魔力が切れて足も動かない、避けられない。走馬灯のようにギルスとの思い出ばかり走る。あいつともっと仲良くなりたかったな。涙が少しこぼれて、俺はそっと目を閉じた・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る