第5話 本当の想い
今日は、朝早くに兄さんに起こされた。
守護者達の連絡係の
ふて寝していると、兄さんに前頭部をペロッと舐められる。
正直これは、苦手だ!こそばゆいと言うか、恥ずかしいと言うか、もっとして欲しいと言うか・・・。
物足りない気持ちで寝たまま兄さんを睨む。
兄さんは、ニヤニヤしながら
一緒に行きたかったのに・・・こればかりは、仕方がない、正直な気持ちを素直に言えない自分が恨めしい。
しょうがないので、横で寝ていた
師匠はハクギの森の丘にいるらしいから、そう遠くない場所なので簡単に飯にする。
食用草だけ食べようと思っていたのに、母さんが「栄養取らないとダメよ」っと言って、色々渡された。
しょうがないので、何も言わずもらって食べ始める。母さんは、嬉しそうにみている。
準備を整えて家を出ようとしたら、狩りから帰ってきた父さんとすれ違う。
「ウォルから聞いたぞ、今から
横で
父さんは「気を付けて行ってこい」っと言うので、再び静かにうなずき、歩き始める。
丘に着くと師匠が「早いな、卵が孵るまで、まだ少し時間があるから、ゆっくりしてろ」っと言う。
「はい」っと一言返事して、きょろきょろ辺りを見回していると師匠に「ウォルならまだだぞ?」っと言われた。
しまった!早く来すぎたか、しょうかない、
しばらくすると、背中にファルを乗せた兄さんが来る。挨拶しに行きたいが、今は始めた
「体は水路だ、魔力は水、水のように魔力を使え!流れを感じろ」
「兄貴疲れたよ、休もうよ?」
まぁ、本人が疲れたっと言っているんだし、せっかくなら兄さんのとこに行きたいから、休むことにした。
しまった、つい見栄を張ってしまった。いつもそうだ。兄さんに負けたくない気持ちが口に出てしまう。
兄さんに煽られて、ついカッとなってしまった。俺そんなに頼りないのかな?
兄さんに俺の強さを証明するために勝負を吹っ掛けるが断られる。
出来るなら、そうしているっつーの!
俺は、さらに腹が立って兄さんに「アホ」っと言ってしまった。
だが、兄さんは手を出さない。
兄さんは優しすぎる。どんなに罵倒しても、喧嘩しても決して手は出さない。
クールで冷静でカッコよくて強い、そんな兄さんに憧れるが素直に言えない。
喧嘩をしていると師匠に呼ばれるが、少し気まずくて、喧嘩をやめられない。
俺は、兄さんから逃げるように
師匠の左目が青く光っている。あれが守護者の証か。
次は兄さんの番だな。その次は絶対俺の番だ!誰にも譲らないからな!俺は全力でギアに近づく。
師匠は、やれやれとあきれた顔をしているが気にするものか。
全員が守護者の証をもらうと、兄さんが早速木の下に行き昼寝を開始する。
しばらくすると、師匠がユグドラさんのところに行くというので、うなずいた。
兄さんが「帰るぞ」っと言うから、俺は、「仕切るな!」と言う。
言われなくても、帰るしかないだろ。
帰る途中で
あぁ俺は、天涯孤独か、そう思うと泣きそうになる。「これで俺も天涯孤独の身だよ」つい口が滑ってしまう。
「なんだと?」こんな時に煽るな!余計に悲しくなる!
はい?!何恥ずかしいことを言っているんだ?つい立ち止まって聞いてしまった。
悲しい気持ちが一気に消えたのに、なぜか余計に泣きそうになる。
誤魔化すように「兄貴面するな」っと言うがダメだ、声が震えている。
顔見られたくないから前に出て歩く。
俺の大切な弟だかぁ、ったく、これだから兄さんが大好きだ
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