第48話 勝てるわけなかった(性描写あり)

 恭一郎さん……本当に初めてだったの?


 疑わずにはいられないほど、とても情熱的で、与えられた快感にオレはただただ翻弄された。


 互いに絶頂を迎え、オレは懸命に呼吸を落ち着かせているというのに、恭一郎さんは、


「理央……素敵だったよ。君の中は温かくて……とても心地よかった」

 と上品な物言いでオレを煽る。


「恭一郞さんも……素敵だったよ……あと──すごかった」

 はにかみながら、オレも素直な気持ちを伝える。


「あ、あれ、ちょ、ちょっと待って」 

 まだ体内にいた彼のそれが、みるみる力を取り戻し漲ってしまった。


「煽るのがいけない。だが、心配しなくていい。初めての君に無理をさせたりしないよ」


 腰を引こうとする彼を、オレは妖艶な笑みを浮かべ「恭一郞さん、もう一回しよ」と誘いをかけてみる。


 だってさ、一方的に翻弄されたなんて、男としてのプライドってものがあると思わない?


 次は自分が彼を翻弄してみせる! そんな対抗意識が芽生えてしまう。


「っ! どうなっても、文句は言いっこなしだよ」


 あのときの自分に言ってやりたい。なぜ、調子にのってあんなことを言ったんだと。


 勝てるわけなかったのに……

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