第34話 堕落から…
[乙女学園]に手を伸ばした
この作品はアリス通う学園での記録であった。題名だけ見て恋愛物語やお嬢様学校での出来事をと思ったのだが…
『空気操作魔法』という才能を持ったメイと、『回復魔法』の才能を持つアリアの日常を陰から見守った話であった。
正直、記録というには2人の才能に現実味の無さを感じてしまうが、[メルスフィア英雄録]を読んだ後にこの作品を読むと見劣りしてしまうので誇張したくらいが丁度良いかとバランスの良さを感じた。
アリアの自分の体を顧みない戦い方はとても面白かった。
一方、ルクナは筋トレを初めすぐに撃沈していた。
それから時間を忘れ無我夢中で本を読んだ
眠気などなく、次のページをめくっては驚き笑った。
物語の世界にどんどんと引き込まれて行く
暖かな空間、邪魔の入らぬとても幸せな時間であった。
もう全ての事を忘れてしまいたいほど…
深い深い闇の中へと沈んで行くような感覚、いつの間にこんな所へ来たのだ…いや、良いや。だって、こんなにも幸せなのだから。
本当にこれで良いのか?
真っ暗な中そんな誰かの声が聞こえる
良いだろう、こんなにも幸せなのだから
与えられた小さな幸せ程度で満足するな
別の方向から同じ声が聞こえる
うるさい
お前の人生じゃ無いのか?
うるさい
どんどんと声が増えていく俺を責める酷い声ばかりだ
うるさい、うるさい…
耳を塞ぎたい、辛い現実になんか戻りたくない
メジカ婆ちゃんはこんな事望まないぞ
う…
その声が全ての雑音を掻き消し俺の耳へと届いた
ずっと聞こえていたのは自分の心の声であった
こんな所で立ち止まっていていいのか?ここがお前の最終地点なのか?
違う
闇にヒビが入った
じゃあ、お前はどうするべきなんだ?
…進むべきだ
何処に?
分からない。けど、ここに居続けるのは俺じゃない
そうだな。なら、早く行け
あぁ
闇が砕けちった
ゴタ‼︎
とベットから落ち目を覚ました
そこそこの高さから落下したが痛みは殆ど無く
それよりも目がかすみ、頭がキチンと働かない
フラフラとした足取りで立ち上がり辺りを見渡す
誰もいない空間に本が山積みとなり…外の景色が見えないため時間が…いや、外は結界があって時間は分からないか
思考がかなり戻ってきて再び見回すと
机の上に紙が一枚置いてあった、そこには
『おはよー、ギルティ君。よく眠れたかな?まずは、幸せからの脱出おめでとう。ん?何故知っているのかって?それは後々教えるとしよう。それにしても君が心の弱い人間だったのならば永遠に目覚める事は無かっただろうに。まぁ、まずはお風呂に入りたまえ。思考もスッキリするしそれに美女の残り香を堪能すると良いさ。全てが終わったら、建物を出て、この形→Sが書かれた看板を探したまえ、私はそこで待っている。あぁ、本はホテルマンが返してくれるから置いておきたまえ
※これを読んでいるのが片付けに来たホテルマンならばベットで寝ている彼を殺してから捨てた…』
ビリビリビリ
最後に不穏な文章が見えた為、紙を破きゴミ箱に捨てた。
「はぁ」
それは、ルクナに対するため息と意識がハッキリとしてきて先程見た夢の事を思い出したからであった。
正直、何故あんなにも真っ暗な空間を幸せだと感じていたのかが分からない。
そもそも、何処まで俺は本を読み、いつの間にベットで眠ったのだろうか
…まぁ、良い。どうせ全て彼女が知っている。
とりあえず今はお風呂に入って…
キュルルル
ルクナが待っている店に食べ物があると良いな
そう考えながら俺は少し木の良い匂いのする風呂に入るのであった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます