第27話 フィオンネ王国

「おい、ギルティ君何を寝ているんだ」

体をひどく揺らされ目が覚める

「ルクナさん、お願いですから休ませてください」

ルクナの馬車に乗せてもらってから3日程経ち

最初の方は楽しく彼女の無限とも言える『知識』を聞いていたのだが…

「もう、ずっと話し続けているじゃないですか」

この3日間寝る事さえ許さず話しかけてくるのだ

目を閉じれば直ぐに夢の世界に入れるが、直ぐに起こされる為関係ない。気絶したとしても彼女の『知識』の前では虚しく起こされるのを繰り返していたのだった。

「あと5分だけ…5分だけ寝かしてくださ…」

「いや、もうそろそろで着くから起きてもらわないと」

「…はい?」

一気に目が覚めた

「ほら、あれを見たまえ」

ルクナが窓の外を指差す

少し遠くに見える…平原の中心にある黒い、黒い…

「黒い…あれは何です?」

黒い壁のように見えたが、ゆらゆらと揺れているのである

「あれはね、暗転幕シャドウベール。フィオンネの王が発動している魔法だよ」

「…常に?」

「そう、常に」

「…えっと、フィオンネが建物1つしかないとかですか?」

「それだと国とは言えないし、建物1つしかないとしても魔法を保つのは大変だね」

「…に」

「人間だよ」

俺が情報の多さに溜息が出る

そして、その反応が見たかったと言いたげにクスクスと笑う彼女は説明を始めた

「フィオンネ王国は約160年前、初代フィオンネ王女により[皆が楽しく笑顔の国]を目指して創られた国なんだ。でも、本当に上手くいかなかった。観光客が来ても飽きてしまい出て行ってしまう、自由過ぎて犯罪しほうだい、と言った具合に酷い国だったんだよ」

彼女の口角がどんどんと上がり楽しさが増していく

「だけどね、130年前この国に変化が訪れる。現在の王エルマドラが誕生したんだよ。彼の才能は『結界』この世界でも数えるしか見つかってない特別な才能だ」

その後、彼女の口が裂けそうなほど口角が上がり、俺は話を聞き続けた。まとめてみると

彼女の評価は『結界』は万能な防御魔法との事だった

半透明な壁を作り出し物理攻撃や魔法を防ぐ防御魔法と違い、結界は全て吸収する霧を作り出すそうだ。

遠距離から魔法や矢を放とうとも吸収し、直接叩きに行くと武器が吸収されるそうだ。

その為、『結界』持ちに攻撃する時は素手による打撃しかないそうだ。

あっでも、結界の吸収する内容は『結界』持ちが決めれるらしい。

その為、フィオンネ王国には自由が少し減り犯罪が一気に無くなったそうな…

「これが、フィオンネと『結界』の関係性の説明だよ。で、次はエルマドラが張っている『結界』暗転幕シャドウベールについてなんだけど…」

終わったと思った話はまだ半分くらいであった。次に始まったのはエルマドラの特殊な結界について

エルマドラの『結界』は少し特殊で普通の人より結界が大きく、結界内の人間から魔力を少し吸い取るという傾向が見れた。まさに、国の防壁になる為に産まれたかのような才能だと彼女は語る。

とまぁ、ここまで大人しく聞いてみたものの

「ちなみに、この『知識』は極秘の話だからファオンネの中では話さないでね」

と彼女が笑う

何でそんな事を俺に話すのかと思いつつ、いつまにか暗転幕シャドウベールが目の前に迫っており、俺たちは暗闇に飲み込まれていったのであった

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