第11話 仕事の始まり
結局、俺は【希望の剣】に雇われた。
俺がどれだけ戦闘で邪魔になることや依頼中に役に立たない事を伝えても大丈夫だと、笑顔で伝えられ俺は黙ることしか出来なかった。
荷物の内容は1週間分の食料と水、テント、衣服の予備等、合計65キロを持ち森を歩く。
報酬は金貨60枚中の12枚、荷物を持ち歩くだけだからもう少し減らしてもらおうと思ったがこれ以上は少なく出来ないようであった。
そして、ここまでの事をさっさと決め次に行うのは…
「よし、お前たち自己紹介の時間だ」
と仕事の話をする時よりも元気いっぱいなヘル主催の自己紹介イベントであった。
「まずは、俺から始めるぜ。俺の名前はヘル、少し珍しい魔法剣士だ。」
そう言いうと持っている剣を掲げる。その剣の剣身は赤くとても綺麗であった。
「どうだこの色カッコイイだろ」
俺が剣に見惚れているのを見てニヤニヤとしているヘル。俺は素直に
「はい、とてもカッコいいと思います」
と答えた。さらにニヤニヤが止まらないヘルにケインが肩を組みながら
「でも、こいつ剣術は全く出来ないんだぜ」
と笑い
「それに、戦闘中も俺の全力って言って馬鹿みたいな威力の魔法を放つし」
「それも、1日1回しか使いませんしね」
と他のメンバーがどんどん文句が続く。ヘルは
「お前ら…覚えておけよ」
と恨みの言葉を吐いていたのだった。次に自己紹介を始めたのは盾の男ケイン
「俺の名前はケイン、見ての通り盾職だ。ヘルとは幼馴染で…」
「えっ?…あぁ、すみません」
幼馴染だという言葉に驚き、自然と声が出てしまった彼に対しケインは
「気にするな、もう慣れている」
と軽く微笑んだ。その横からヘルが割り込み
「そうだぞ、この老けて見える顔とか顔が怖すぎて今回の依頼の荷物持ちがまともに捕まらなかった事とか全然慣れてるからさ君は気にしなくて…」
「お前は少し黙れ」
ドゴ「ガハッ」ドサ
とケインはヘルに怒りの腹パンをしていた。
この人はやはり馬鹿なのだろうと俺は再認識していた。
ヘルが腹パンの苦しみから復活したころ次のメンバーが自己紹介を始めた
「私の名前はセナ、一応武闘家って言えばいいのかな?私もヘルとは幼馴染だよ」
と元気いっぱいに語る。その横でヘルが俺に耳打ちをしてくる
「俺より力が強え怪力娘だから気をつけ…」
「聞こえてるんだけど‼︎」
ドゴ「ゴベッ‼︎」ドサ
いつ近づいてきたのか見えなかったが。おそらくケインと同じように腹パンをしたのだろう。彼女の方を見ると笑顔だが、俺には感じる圧倒的殺意の量を。俺は震えながらヘルの方を見ると泡を吐きながら何かを言っていた。何となくだが、だから人が寄りつかないんだよと言ったのだと思う。
何とか一命を取り留め、ヘルが復活した頃
メンバー最後の人の自己紹介が始まった。
「
「よっ!このチームの花」
とても楽しそうにヘルが言う。すると、
「もう、ヘルさんたらそんなこと言われたら照れます」
とブンブンと杖を振る
ポコポコ「アハハ、危ないだ…」
それがヘルの頭にあたり、彼女から離れようと後ろに下がる、その後
「私は花じゃないって言いたいのか‼︎」
バキッ‼︎「ヅッ‼︎」ドサ
と怒ったセナにもう一度腹パンを入れられ、再び倒れたのだった。
今回は効いたのか起きる気配のないヘル、流石にヤバいのでは?と思っていると
「
とミカが詠唱しヘルは暖かな光に包まれる。そして、光が消えた頃には
「婆ちゃん待ってく…あれ?」
と何か完全に見てはいけないものを見ていたヘルが回復した。
立ちあがろうとするヘルはまだ力が入らないのか自然とミカの方へ手を伸ばす。だが、何かに気がついたのか急いで手を引っ込め
「ケイン、手を貸してくれ」
ケインに助けを求め立ち上がっていたのだった。
「じゃあ、最後。君の自己紹介を頼む」
「はい、俺の名前はギルティと言います。短い間ですがよろしくお願いします」
と定型文のような自己紹介をする。流石のヘルでも俺には何も言わず自己紹介の時間は終わった。それにしても…才能の事を聞かれないというのは新鮮であった。それともこれが普通なのだろうか?
「んじゃあ、ギルティ君。5日後の朝1番に北門で集合ってことで大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です」
「いい返事だ、じゃあよろしくね」
仕事の話は終わり、もう特に話すこともなくなったので俺は立ち上がりメンバーに一礼をする。
そして、家を出た後、再び冒険者協会へと歩き出した。そう、今日の分の収入を得るために。
ギルティ君がいなくなり部屋が少し静かになる。
「さて、俺は俺で動かないとな」
と俺は皆を連れ動き始める
「あらかた予想はたった。さぁ、彼について調べに行くぞ」
俺は今回の問題を必ず解決しなければならない。
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