Circle。

道草

第1話

 永遠は無いらしいね

 君も草木も空もね

 それだから美しいと

 昔の人は言ったんだね

 「そうでもないみたい」と

 笑い合う日常が美しい

 なんてことのないただの朝が

 どこにでもいる人たちが

 今をつくる物語、


 永遠は捨ててきたらしいね

 アダムとイヴのお話ね

 それが人の原罪だと

 昔の人は考えたんだね

 「もったいない」と

 口を曲げる君が滑稽だ

 ありきたりな僕が

 稀有な君が

 今日も綴る物語、


 永遠がもしあったなら

 人が生き続けるなら

 一生幸せに

 昔の人は願ったんだね

 「それも悪くはないね」と

 妄想する日々が案外愛おしい

 ちぐはぐな言葉が

 小説のような毎日が

 句読点で繋ぐ物語、


 唐突に終わるかもしれない危うさを

 どこかで途切れそうだという不安を

 「なんか愉快ね」と

 僕ら楽しんでみる

 これくらいがちょうどいい

 それでも

 この日々が紡ぐ文章は

 「終わらせるにはまだ早いから」と

 次の言葉を探しだす

 巡る環をなぞってゆく

 いつかの人が残した「しるし」を辿ってゆく


 永遠は無いらしいけど

 時間もいつかは止まるけど

 それだから生きていこうと

 昔の人たちが繋いできたんだね

 「なんか楽しみだね」と

 不確かな明日を待ち侘びてみる

 生まれながらに限りある全ての人が

 今を繋ぐために

 永遠のように歩む物語、


 永遠は無いらしいけど

 「まだ終わらないでいたい」と

 君ははにかんで言う

 とりあえず今日は

 「また明日、」

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Circle。 道草 @michi-bun

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