第17話 母親達と6人目


「どうも代表の栗原晴と言います」

 俺は今頭を下げている。

「どうだ母ちゃん?本当だろう?」

「あ。あぁ。本当によろしくお願いします」

 カッペイの母さんにクオンの母さんも来ている。

「半年もいなくなったと思ったら今度は会社の役員だなんて、あんたは本当にもう」

「へへ。やる時はやっからよ!」

「さぁ。中にどうぞ」

「は。いいんですか?」

「はい」

「まぁ。綺麗な人!どうぞよろしくね」

「はい!カッペイさんのお母さんですよね、よろしくお願いします」

 ネアも今日は大人対応だ。

「クオンのお母さんもどうぞ!ここがクオンのデスクです」

「あ、あ、ありがとうございます!本当に」

「この会社のロゴはクオンが作ったんですよ」

「あ、あんた!凄いわね!よくやったわ!」

「イデェって母ちゃん」


 そして説明に入る。

「我が社はクランになります。半年を共にした仲間で作り上げたものです。給与体系は普通の会社と異なりますがそれは問題ないでしょう。すでに数百万の給料になってますからね。

 その場でキャッシュでもらっています。

 僕達はハンターですから危険も伴いますがレベルに見合ったところにしか行きませんし、どこのクランにも負けない自信があります。既に有名なところからは引き抜きの話も全員受けましたがそれでもなお自分たちでやっていきたいと思いこのクランを立ち上げました。

 親御さんには迷惑をおかけしますがどうかご理解のほどご協力ください」


「はい!」

「あ、クオンのお母さん、どうぞ」

「既に数百万も稼いでいるのですか?いつも朝から出かけていますが」

「今出かけているのは自動車学校ですね、カッペイ君もそうです。自分の口から説明しなさい」


 カッペイとクオンは説明し始めた。そして今いくらあるのかがバレてしまったようだ。


「如何ですか?」

「すいません!本当にこの子ったら何にも説明しないもんで!」

「うちもですよ」

「カッペイとクオンにはちゃんと説明するように私からも言っておきますね」

「はい!お願いします」


 と良い感じに説明が終わり、もしギルドに行ったことないならと今度はギルドに行ってみる。

「まぁ、きれいなところね?」

「ほんとに」

「お母様方はまだあの石に触れたことがないとお聞きしましたので触れてきてもらえませんか?」

「母ちゃんこっち」

 と2人を連れて触ってきてもらうと、

「私は料理でした」

「あらいいですね、私は水魔法?ってやつでしたわ」

「そうですか、それはスキルと言って使い所が限られているものですが、お二人にこちらをプレゼント致します」

「あ!ハルそれは!」

「生活魔法といいます」

 もらった2人はパラパラと捲れて消えた本にビックリしているが、

「『トーチ』うわ!すごい」

「こんなのもあるの?凄いわね!」

「はい、有用なスキルですので是非お使いください」

「こんな貴重なもの本当にありがとうございます」

「ありがとうございます」

「いえいえ、この代金は2人にもらいますので」

「えー!ひでーよハル!」

「そうだ横暴だぞ!」

「こら!代表に対して何言ってんの!」

「そうよ!すいませんね」

「いえいつもこんな感じですから」

「そうなんですか?」

「和気藹々でやってます」

 そして最後にお見送りして帰って行った。

「ハルきいてないぞ!あんなのいくらすんだよ?」

「俺も聞いてないけど?」

「あはは、あぁ言わないとお母さんたちは納得しないだろ?それとも払ってもらって良いけど?3千円」

「あ、そうだった!銀貨一枚だったな」

「騙すなんて卑怯だぞ」

「騙してないさ、お母さんたちには有用だろ?」

「まあな、ありがとうな」

「しょうがねえな、ありがとう」

 さて、2人のお母さんには大丈夫だったけどスキル研究所のしおりのお母さんはどうしようかな?


「来るってさ」

「やっぱり?」

「まぁ、生活魔法渡せば喜ぶわよ」

「そうかな?」

「だいじょうぶだって」


「まぁ、似合うわね!よかったわ!」

 デスクに座っている娘をべた褒めする母、

「で?危なくはないんですよね」

「基本後衛ですので危なくはないですね」

「あと生活魔法があると聞いたのですけど」

「はいこれですね」

「こ、これが魔導書」

「開くと自動でめくれて消えてしまいますから」

「え?消えるんですか?」

「魔導書はそんなもんですよ」

「ここれは貴重だわ!早く帰って研究しなくちゃ!」

「すいません!今日は本当にありがとうございました」

 と本当に帰って行った。

「ね?」

「ほんとだね?」

「せっかくスーツできたのによ」

 2人ともどこのホストだと言わんばかりのスーツの着こなし方だな。

「まぁ、これで親御さんたちも喜んでくれただろう」

「うん、ありがとねー」

「あいよ!ふぅ、つかれたな」

 みんなデスクに座る。

 一つ空いてる席に書類に強い人を連れてこないとな。


 求人をかけてみると2人面接にきたいという。

 面接をすると1人は高そうなスーツに高飛車な態度が鼻についたので却下、もう 1人は少し暗いが免許も多数持っていて元ギルド職員ということで採用した。

小鳥遊 小春タカナシコハルと言います。よろしくお願いします」

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