第20話 天世の闇

 ルシアさんからその話を聞き、俺とキキノの両親とルシアさん、そしてカンネ・ヒイラギとの間にそんな事があったことに驚いていた。


 まさか自分が、両親と同じ様に、その仲間で、2人の娘であるキキノと、一緒に旅をしたカンネに関わってしまうなんて思いもしなかった。


 キキノも同様なようで、驚いていた。


 ルシアさんはさらに口を開くと、両親が死ぬ原因と繋がる話しをてくれた。


「ここから、あなた達の両親が、死んだことにも関わってくるわ……」


 ルシアさんは少し目を暗くしていた。

 それもそうなのだろう……。

 だが、俺とキキノは両親と生活した記憶を持ってなく、感情の起伏はあまりない。


 ルシアさんの方が、感情は入り易いのだと思う。

 俺は頷くと、ルシアさんは大きく深呼吸をしてゆっくりと話し始めた。


「私たちはね、黒幕を捕まえた後は各街を回って、売られた子たちを探したのよ。その旅は割と順調でね、結構見つけられることができたの。中には結果として幸せに暮らしている子達もいたけどね……でも殺された子もいた……」


 そこからはルシアさんの顔が曇り始めた。


「それでね、各街を回って行くに連れて妙なことが分かったの……。全員ではないのだけど、連れ去られた、孤児の大半は天世が管轄する天牢がある街のの家に引き取られていたのよ……」


 ───それはどういうこ……? と言おうとしてルシアさんに静止された。


「この孤児の誘拐の裏にはね、天世が関わっていたのよ……。捕まえた黒幕も、だった。それで、この事に気づき始めたあなた達の両親は口封じに狙われた……当然、これも知られてはいけないことだから……」


「────!?」


 俺もキキノも驚きで声が出なかった。

 これの人攫いが原因で俺たちの両親が狙われてしまった。


 それにだ、犯罪者を捕まえるはずの天世が、人攫いの主犯で子供達を各街に送っていた……何が何だか分からないでいるとルシアさんは続けて話した。


「天世はね、出自が分からず、騒ぎになったとしても揉み消せる孤児を選んでいた……。その子達を育て、天牢の看守にさせることで、知られてはいけないことを隠そうとしていたのよ……。出自が分からない者ほど扱いやすい者はいないからね」

 

「それでも、扱いきれなかったら……」


「───殺せばいい……と考えるでしょうね」


 ルシアさんの言葉は重く、天世の命に対しての感覚は軽く感じられた。


「じゃあ殺してもいい様な孤児を何で、天牢という重要な任に就かせようとしたんだよ……?」


 重要な任に就かせるにも関わらず、その任を続行出来なくする。


 ────こんな変なことはない


 殺してしまっては、育てた意味がない。

 キキノについてもそうだ……。殺すために育てるなんて、全く意味がわからない。


 それに、一緒に旅をして、天世のやったことを分かっていながら、カンネ・ヒイラギはなぜ天世に入ろうと思ったのか?


 しかも、カンネは孤児にも関わらず、なぜと名乗っているのか?


「それだけ分かり始めていながら、何でカンネは天世に入ったんだよ……。それに何でって名乗る必要があるんだよ? だいたい孤児には名前しかないはずじゃあ……」


 ───それはね……。と言うと答えてくれた。


「孤児院の司祭さんがヒイラギでね、天世に入るために孤児である事を隠そうとしたのよ。もし孤児である事が分かれば、天世から不要な疑いをかけられかねないし。私たちが色々探りはじめていた事は、天世にもと思う……。だから、自分の育ちを隠す必要があったの。それで育ての親で、ように慕っていた、司祭さんのヒイラギを付けたのよ……。それに、カンネが天世に入ったのは、天世がか調べるためと言っていたわ…」


 カンネが幼くして、そんな事を考えていたとは驚きだった。それだけ、ルシアさん達との旅は衝撃があったのかもしれない。

 そして、最初の重要な質問をした。


「じゃあルシアさん、あと一つ……。なんで、キキノをのかと、必要があったか知ってるのかよ?」

 

 ルシアさんはキキノに目を向けながら知り得る限りの事実を話してくれた。


「そうね……。これは〈真創〉を使うための、ガイアの〈恩恵〉を受けるための、潜在力である《恵印けいいん》が関わってくるわ……」


 俺はその《恵印》に聞き覚えがある。

 学校で教わった記憶がある。


 〈恵印〉は〈真創〉を使うための潜在力だ。

 これが高ければ大きな力を使えると聞いている。

 だけど、ルシアさんは学校で教わらなかった詳しいことを説明し始めた。


「〈恵印〉は〈真創〉を使うために必要なんだけど、本来、これは、の。この〈恵印〉は《クリスタルガイア》の承認を受けた一族クランと、一部の《界種かいしゅ》と言われる、この世界の〈〉である【】の血族だけが持っているものなのよ」


 そのルシアさんの説明に言葉を失った。

 なぜなら、俺たちは、ある日突然と能力開花が起こる。だから、当たり前の様に〈恵印〉は全ての人が持っていると思っていた。だが、それは間違いだと知らされた。


「じゃあなんで、それ以外の人がッ!? それに〈ガイア領域〉って何なんだよ……」


 その俺の反応に当然といった様にルシアさんは答えてくれた。


「じゃあ、順を追って説明するわね……」


 そういうと、ルシアさんは───


「先ずはなんで殺すために育てたのか……? から話すわね……」



───── ◇──── ◇ ──── ◇ ─────

 

 読んで頂きありがとうございます‼️

 以前、近況ノートに描かせて頂いたGペンと色鉛筆で描いたもので簡単ではありますが、キキノのイラストを載せさせて頂きます。

 

 デジタルではなく手描きで、見にくいかもしれませんがなんとなく見ていただけたら嬉しいです

 近況ノートに移動します

     ↓

 https://kakuyomu.jp/users/Hakuairu/news/16818093073395350236


 

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