閑話 休日

 部活に入った週の休日。わたしは小夏と一緒にショッピングモールに買い物に来ていた。

 今はフードコートで飲み物でも飲みながら休憩中

「どう?文芸部は」

「いくたびワイワイしてたのしいよ。小夏は?イケメンには会えたの?」

「会えたよ!なんなら付き合うことになった!」

 ぶ!

 あぶないあぶない、危うく飲み物を吹きこぼすところだった。

 ていうか、え⁉付き合うことになったの⁉

「この間思い切って告白したらOKしてもらえてさー。明日は初めてのデートなんだ!」

 へ、へぇ。

 相変わらずすごい行動力。

「よかったね」

「わたしはいいけど花音は?文芸部って女子ばかりだから出会いとかないんじゃない?」

 いや別に部活に出会いをもとめているわけじゃないんだけど。

「あ!花音だ!おーい!」

 誰だろう、わたしを呼ぶのは。

 って、あれは寧々先輩。あ、そっか。先輩の家ってこの辺なんだっけ。

「こんにちは、奇遇ですね」

「ほんとだよ。まさか休日にも会えるなんてね!そっちの子は?」

「あ、私は花園小夏です。いつも花音がお世話になっています。何かご迷惑をおかけしてないでしょうか。」

 ちょっと、なにそのお母さんみたいな言い方。

「ウチの名前は春先寧々先輩だよ!よろしくね!花音は迷惑も何もすごくいい子だよ!このまえお菓子を買ってきてくれたもん!」

 買ってきたんじゃなくて買わなきゃいけないことになったんだけどね。

「いいなー。私にも買ってよ!」

「やだよ。自分で買いなよ」

「ええーー」

 『ええーー』じゃないでしょ。まったく。

「あはは。花音と小夏は仲がいいんだね。よし、今日は先輩としてウチがここのアイスでもおごってあげよう」

「いや、もうしわけ「いいんですか!」」

 いや、それはがめついって。

「いいのいいの、気にしないで!バイトのお金をもらったばかりで余裕が結構あるから」

 そうはいっても。

 けれど、「いいからいいから」という先輩におしまけて、結局おごってもらうことになった。

「ありがとうございます」

「ありがとうございまーす!」

「どういたしまして」

 そういえば。

「寧々先輩ってバイトやってたんですね。どんなバイトなんですか」

「ここで働いてるよ!」

 そういって先輩が指さしたのはまさに今おごってもらったアイスクリーム屋さん。

 え、ここ?

「ここって先輩のバイト先だったんだ。あ、もしかして」

「あれ?気づいちゃった?そうだよ、ここのアイスクリーム屋さんは店員だと割引で買えるからね」

 やっぱりそういうことか。

「がっかりした?」

 がっかりというよりも。

「むしろ安心しました」

「そう?それならよかった!」

 それまで食べるのに夢中だった小夏が「そうだ!」といった。

「先輩!この後空いてますか?よかったら一緒に買い物しませんか?」

「いいね!しようしよう!」

 ということでわたしたちはいっしょにいろいろなお店を見て回った。

 帰った後に来週の身体測定のことを思い出し後悔にさいなまれたのは言うまでもないだろう。

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