第4話 つみあげうた

「今日はウチの番だね!ウチが用意してきたのは『つみあげうた』だよ!」

 『つみあげうた』?なんだろう、それは。

「文章の後ろに次々と文章を足していく言葉遊びのことよ」

 へーそういう遊びがあるんだ。

「それなら2周ぐらいするのはどう?」

「そうだね、それでいいんじゃないかな。あと忘れないように黒板に書いておこうか」

「じゃあ言い出したウチから行くよ!『叱る先生』。はい!次は花音!」

 え!わたし⁉

「じゃあ『叱る先生にがみがみ言われている寧々先輩』!次はー梓先輩」

「なんでウチなのよ!」

 え!違ったの!

 ふりだと思ったのに⁉

「そりゃそうなるでしょうよ。じゃあいくわよ!『叱る先生にがみがみ言われている寧々を笑いながら見ている私』。はい!葵!」

 寧々先輩が「ひどーい!」って怒ってる。

「ボクの番か。そうだなー・・・『叱る先生にがみがみ言われているの寧々を笑いながら見ている梓の写真を撮っている理沙』」

 今度は梓先輩が「何やってるのよ!」って怒ってる。

「つぎはわたしね。『叱る先生にがみがみ言われているの寧々ちゃんを笑いながら見ている梓ちゃんの写真を撮っているわたしに挨拶をする葵ちゃん』」

「一周したね!じゃあまたウチの番!『叱る先生にがみがみ言われているのをウチを笑いながら見ている梓の写真を撮っている理沙に挨拶する葵をたたこうとする花音』」

 ちょっと!寧々先輩!わたしそんなことしませんよ!

 寧々先輩ちょっと笑ってるし。

「さっきのお返しだよ!」

 全くこの人は。

「はあ、まあいいです。私の番ですね。『叱る先生にがみがみ言われている寧々先輩を笑いながら見ている梓先輩の写真を撮っている理沙先輩に挨拶する葵先輩をたたこうとするわたしの横を通る猫』」

「私の番ね!いくわよ!『𠮟る先生にがみがみ言われている寧々を笑いながら見ている私の写真を撮っている理沙に挨拶する葵をたたこうとする花音の横を通る猫から逃げているライオン』」

 ライオン⁉なんで⁉

「ライオンが猫から逃げていたら面白くない?」

 そうなのかな?

 あ!でもほかの先輩たちも「ん?」って顔をしているからわたしがおかしいわけではないんだな。

「いいのよ!さ!次は葵の番よ!」

「『𠮟る先生にがみがみ言われている寧々を笑いながら見ている梓の写真を撮っている理沙に挨拶するボクをたたこうとする花音の横を通る猫から逃げるライオンに餌を上げようとする校長先生』」

 ぶっ!

 やばい面白くて吹き出しちゃった。

「花音ちゃんはこういうのが面白いのね」

 いや!そういうわけじゃないんですよ!

 ただ葵先輩の口からそういうのが出るのが面白くて・・・

「さあ、最後はわたしね。『𠮟る先生にがみがみ言われている寧々ちゃんを笑いながら見ている梓ちゃんの写真を撮っているわたしに挨拶する葵ちゃんをたたこうとする花音ちゃんの横を通る猫から逃げるライオンに餌を上げようとする校長先生を止めている警察官』」

「これで終わりだね!最終的に『𠮟る先生にがみがみ言われている寧々を笑いながら見ている梓の写真を撮っている理沙に挨拶する葵をたたこうとする花音の横を通る猫から逃げるライオンに餌を上げようとする校長先生を止めている警察官』という文章になったね!」

「ところどころ変わってるけど最後の理沙の文でそれとなく落ち着いたんじゃないかな」

「さ!これで今日の活動は終わりよ!土日明けの月曜日は部活がないから次は来週の火曜日ね!次の担当は・・・」

「ボクだよ。何かかんがえてくるね」

 てことは順番で言ったらわたしは来週の火曜日が担当なのか。私も考えないとなあ。

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