閑話 あいうえお作文の帰り道
「みなさん!よかったら一緒に帰りませんか?」
わたしは勇気を出してお願いしてみた。
「いいわよ!みんなもいいわよね!」
梓先輩の言葉にほかの先輩も「いいよ」と言ってくれた。
よかったー。誰にも相手にされないんじゃないかと思ったよ。
「そんなに気を使わなくてもいいよ!ウチらは同じ部活の仲間なんだからね!」
「そうよ。私たちももっと花音ちゃんとお話がしたいと思っていたしね」
そういうわけで、わたしたちは一緒に帰ることになった。
「花音ってどのあたりに住んでるの?」
校門を出たあたりで葵先輩が聞いてきた
「隣町です。先輩たちはどこに住んでいるんですか?」
「わたしは駅前のマンションに住んでいるわ!」
え!あそこってすごく高いんじゃ・・・
「梓先輩の家ってお金持ちなんですね」
「別に普通よ」
普通って・・・
ていうかお金あるのにお菓子をおごらせてるのか。
「それとこれとは話が別よ!」
「でも確かに梓の家に行ったときすごくおしゃれだったなあ」
「へえ、寧々先輩の家はどうなんですか」
「ウチの家は二つ先の町だよ!ショッピングモールが近くにある所!」
あ!そのショッピングモールなら小夏といったことがある!
へーあのあたりに住んでるんだー。あそこってわたしの家と反対のほうだよな。
「理沙先輩と葵先輩はどこに住んでるんですか?」
「ボクは学校から割と近いところの家だよ」
へーいいなあ、学校から近くて。ぎりぎりまで寝ても遅刻しないで済みそう。
「わたしは学校の隣よ」
へー、ってえええええええええええ!!!
「驚くのはまだ早いわよ。理沙の母親は学校の理事長なのよ」
ええええええええええええええ!!!!
「理沙先輩って何者なんですか?」
「ただのどこにでもいるような女子高生よ」
ぜったいそれはないと思う。
間違いなくこの中で一番謎が多いのは理沙先輩だ。
「そうだ、よかったらコンビニによって行かない?」
「いいですね!」
葵先輩の提案でわたしたちは近くのコンビニに入っていった。
「さーて、それじゃあアイスにフランクフルト、肉まん買ってこうかなー」
寧々先輩、そんなに食べれるのかな。
「寧々、あんた食べすぎじゃない?」
「大丈夫大丈夫」
「でももうすぐ身体測定よね」
梓先輩のその一言で、お菓子や飲み物を見ていたわたしたちは凍り付いた。
そうだ、そのことをすっかり忘れていた。
「あー、うー、いや!食べた分しっかりと運動するから大丈夫だゾ!」
「語尾がおかしくなってるよ」
結局寧々先輩は言っていたものを全部買って、残りのわたしたちはあったかい飲み物を買うにとどめた。
「寧々先輩、そんなに食べて夜ご飯はどうするんですか?」
「ん?もちろんしっかり食べるよ」
へ、へー。
いったいどんな胃袋をしているんだろう。
「あ!ボクはこっちだから」
分かれ道で葵先輩がそう言った。
「さよなら」
わたしたちも「さよなら!」というと葵先輩は歩き始めた。
「また明日学校でねーー!」
あれ?というか
「理沙先輩の家ってとっくに通りすぎてますよね」
「それはそうだけど一人だけ仲間外れは悲しいでしょ。でも葵ちゃんも帰っちゃったしわたしも帰ろうかしら。さようなら!」
そういって理沙先輩は引き返していった。
てっきり迎えの車とか来るのかなと思ったけど。
「今日は歩いて帰るのね。たまにお迎えの車を呼ぶのに」
来ることもあるんだ。
「さて、私もそろそろさよならね」
あ!ほんとうだ。駅が見えてきた。
普段は小夏と話すけど、それとはまた違って楽しかったな。
「じゃあね!また明日!」
「さようなら!」
「さよなら!」
いよいよわたしと寧々先輩の二人になった。
「花音はどっち?」
「わたしはこっちです」
「じゃあウチとは逆だね。またね!また学校で!」
「はい!さようなら!」
寧々先輩とも別れて一人で電車に乗った。
はー楽しかった。
また明日部活に行くのが楽しみになった。
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