第4話 メリーさんの反省

 全速力で飛んだので、ものの3秒ほどで玄関前に着いた。

 木造の三階建て、屋上には小さな小屋とその壁には大きな時計が飾られいる。

 もちろん、動いてはいない。

「ドアが沢山、窓も沢山」

 長年、人間の手入れはされていないようだ。

 以前(何十年も前だろう)は、きっと三か所の引き戸は多くの行き交いがあっただろう。

「ここには用事が無いし近くまで来たことなかったけど、オンボロ」

 

 ドアは全て蝶番から外れている。ドアそのものが無い入口もある。

 窓はほとんど割れていて、辺りにガラスが散らばっていた。

 ガラスにまぎれて落ちていないか一応見て回ったが、いなかった。


「やっぱりお屋敷の中に入っちゃったんだ」

 どこからでも入れそうだったので、真ん中の入口から入ることにした。

 窓から入るとガラスに服が引っ掛かりそうだったし、私の一張羅が破れたらもう直せないしね。

 

 建物の中に入ると、いくつもの長方形が横にずらっと並んでいた。

 全て木製で、それらには正方形の穴が数十個も開いている。だいたいが空洞だけど、いつくかの穴にはくしゃくしゃに丸められた紙とか埃まみれの靴が入っていた。

 「サファイアくーん」

 一つ一つの穴を見ながらいないかを探すが、無い。

 残念ながら最後の長方形まで探したが、見つけることはできなかった。その奥には大きな引き戸があり、隣には階段が見える。他にドアは無かった。

 「もっと奥まで入り込んじゃったかなぁ」

 そんな遠くまで投げちゃったかなー。

 

 レールから外れてしまった引き戸の取手を思い切り引っ張るが、全く動かない。

「えー。全然動かないじゃない」


 あと入れるところは、

「階段しかないね。絶対ありえないけれど、上から順に探しましょう」

 サファイアくんは私の近くじゃないと動けないって言っていたけれど、嘘じゃない?

 自分ではそう言っているだけで、実は自由に動けのでは?それで投げてしまった私が嫌いになってどこかへ行ったしまったとしたら、

「全部私が悪いね」

 絶対に見つけて、謝らなきゃ。

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