第11話 戦争


 次の日には人数分の外套を調達し、部屋を一番でかい部屋に変更してもらう。

 そして俺はギルドに行って荷運びの護衛を受ける事にした。


 次の日にはもう荷運びの依頼が決まった。

 だいぶ限定されると思ったのだがな。

「よろしくお願いします」

「いやぁ、ランクCの冒険者さまに護衛してもらえるなんて滅多にないですからね」

「いえ、こちらも1人で護衛すると言っていますから無茶なお願いで申し訳ない」

 そう、これは1人での依頼だ。

「いえいえ、こちらこそ大金ばら撒いて護衛を依頼するよりもずっといいですよ!」

「では行きましょうか!」


 外門を通過する前に荷物を見てもらう。

 問題ないとわかれば通してくれるようだ。

「よーし。問題ないな!行け」

「へい!」

 そうして俺は前線へと荷物を運ぶ馬車に乗ることができた。


「前線はどうなっているんだ?」

「そりゃ酷い有様ですよ!魔人ってのは魔法が得意らしくて人間側が押されてる状態ですね」

「そうなのか?」

「ですが指揮官のグラード様率いる第一師団にかかれば敵もなかなか中に入ってくることはできませんね」

「そうか、それならば安心だな」

「お、早速ウルフですね」

 馬車は止まるオオカミが前に陣取っている。

「神速」

 俺は6体のウルフを斬り収納に入れる。

「よし問題ないぞ」

「え!一瞬でしたけど!」

「こいつらだろ?」

 と狼の頭を出して確認させると、

「し、収納持ちのかたでしたか!これはお見事です」

 片道一週間、かなり長い戦いになりそうだな。


 途中地龍が出てきたりとハプニングはあったがどうにか切り抜けることができた。



 そしてようやく前線部隊の駐屯地に着いた。



 じつは隠れて『神速』を使いみんなと荷物の入れ替えを行ったりしていた。

 何度となく神速を使い荷物とみんなを動かしているのでみんな固まって丸くなってくれている。力を入れてればそれなりにダメージは少ないそうだ。


 これは何回も試したから大丈夫。


 最初から皆に外套を着せて門の近くで待機してもらい出発する時に中の荷物を収納してみんなを乗せると発進だ。

 途中休憩する時なんかにトイレなど済ませてもらうためにまた神速を使い運び出したりなかなか大変だった。


 それもここが最後で大一番だ。


「おい!そこの荷物を検閲するからこっちへ来い!」

「神速」

 女達は身体を丸めているので運びやすい!

1人ずつ慎重に運んでいく。前線で戦っているのは一時的なものらしく今ならすんなり通れる。


 1人、2人と運び魔王領の陣地に運んでいく。そんなに急げないのがもどかしい、汗が噴き出るがなんとか頑張る。

 あまり急ぐと彼女達を傷つけてしまうからな。


 最後の1人になって、物資を中に戻してから魔王領に入るべく急ぐ。

 俺の魔力が尽きかけるが…なんとか魔王領まで辿り着く。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

「ヒロトありがとう」

「ヒロト様」

「ありがとうございます」

「大丈夫ですか?」


「いや。大した事ない、すまんがちょっと休憩させてくれ」

 と大の字に寝転がる。


「き、貴様人間が何故ここにいる!」

 しまったな、俺が外套を着るべきだった。魔王領の人に見つかってしまったな。

「だめーー!」

 俺のことを9人の女が庇う。

「なぜだ?そいつは人間だぞ!」

 その通りだがちょっとまずいな。

「私達の事を守ってくれたのよ!」

「逃してくれた!」

「だからこの人間に危害は加えないで」

 女達の必死の願いだった。

「な、何があったんだ?」

 魔人は話を聞いてくれる状態になってくれた。助かった。


 今までのことをアミュが中心になって話してくれている。

「そんなことが!わ、わかった!大隊長に報告してくる!」

「よかった」

「こ、これを着ていてくださいまし」

「わ。私の方が合うと思いますよ」

「あはは、ありがとうみんな」

「こっちがお礼を言うほうです」

「ありがとうございます」

「あっ誰かこっちにきた」


 9人は守る体制をとるが、

「分かっておる、危害は加えん!」

「大丈夫だよ、みんな」

 みんなに一言声をかけて立ち上がると、

「大隊長のストールだ」

 ツノが前向きに生えていて大柄の男性だ。軍服姿も様になっている。

「冒険者のヒロトだ」

 握手を交わすと、

「それではヒロトは客人として扱う」

「ありがとう、本当にいいのか?」

「構わん、助けてくれた礼だ」

「それじゃお言葉に甘えるよ」

 と天幕の張ってあるところへ案内されるが外套のフードは被ったままだ。

 

「この中ではそれは脱いでいいぞ!」

「わるいな、流石に疲れたんで座らせてもらうよ」

 と椅子に座る。


「君は勇者召喚で召喚された人間だね?」

「よくご存知で」

 凄いなこの人、

「あはは、俺の勘はよく当たるんだよ、さすがに勇者召喚で召喚された人間がこちらにくるとはね」

「だってこれただの戦争だろ?」

「そうだ、簡単に言えばな」

「和平は?」

「無理だろうな」

「そうか。そうなんだろうな」

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