第9話 雨音


 また黄色い朝日を拝み、空は晴天。

 俺も精を出し尽くしたせいで体は軽い。

 

 そうして門兵のとこに行くと賞金首の代金金貨5枚と報奨金で金貨10枚を貰い、ギルドに報告してなかったので報告すると1人銀貨30枚で14人分で金貨4枚と銀貨20枚になった。

 そして途中で倒したウルフも卸すと金貨1枚と銀貨40枚になった。そしてランクが上がりCランクに上がった。


 ここらでレベル上げをしてもいいがまだ王国内なんだよな。でも依頼を見ると強そうな魔物の依頼が多いので少し留まる事にする。


 宿に5日分の部屋代を払って、門の外に出る。昼過ぎだから時間はあまりないが神速のある俺には関係ないしな。

 森までが少し遠いので神速を使い、走って行く。

時が止まった森の中で最初に出会ったのは地龍と言うドラゴンだった。


 確か逆鱗があるはずと探すと首にあったのでそれを剥ぎ取り首を切断する。やはり剣術があると切れ味が違うな。

 収納に入れてまた魔物を探す。

 ここの森は多種多様な魔物がいる様で倒したい放題だな。強そうな魔物から順に倒して行く。

 そして森の外で神速を解除すると、レベル酔いがくるほど上がっているのがわかる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 水野 大翔ミズノヒロト 16歳

 レベル68 職業 旅人

 スキル マップ 収納 魔力循環 魔法(全) 解体 中級剣術 気配探知

 ユニーク 神速 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 レベルが上がっただけじゃなくて剣術が上がり、気配探知というスキルが生えた。

 マップと併用すると魔物が何処にいるかがわかりやすいな。まぁ魔物じゃないのもいるかもしれないがこれはいいな。


 夕暮れ時をゆっくり帰ってると門が閉まりそうになったので神速を使い走って中に入る。

「危ない!また野宿するとこだったな!」

 景色がいいからと浸るのはやめよう。

 食堂はやめて他の飯屋に行く。

 あの宿の飯はあまり好みじゃなかったからな。

 エールは飲まないが居酒屋の様なところへ行って食い物を注文する!出てきたのは味の濃そうな料理ばかりだがなぜかあと引く美味さだな!

「おい!お前!なーにさっきから見てんだ?」

「は?俺か?見てないけど?」

「んだと!俺様なんか眼中にないだと!」

「うわぁ、からみ酒ってやつかよ、酷いな」

「だからなっ!」

 ダガーを指の股ギリギリに刺す。

「見てねえっていってんだろ?それとも何か?殺るのか?」

「そ、そ、そうか!すまなかった」

 と酔いが覚めた様に逃げて行った。

「はぁ、めんどくさいな」

 だから酒を飲みたくないんだよ。

 

 人を殺したからタガが外れてしまったのか殺す事に意味を無くしてしまったようだ。

 これじゃあいつらと一緒じゃないか。

 もう少し自重しなきゃダメだな。


 翌朝はあいにくの天気だ。

 こういう雨の日は外に出たくない。

 部屋でゆっくりしているとベッドシーツの交換をされてせっかく浸ってたのがバカらしくなったので外に出る。何かないかと探すと本屋があったので入ってみる。

 

 本屋の匂いは独特で好きだ。

 何冊か手に取り買うことにしたが、やはりこの世界の本は貴重で高いな。

 でも買うんだがな。

 部屋に戻って雨音を聞きながら読書をする。


 うん。いい感じに深く入れる本と出会えて嬉しくなる。

 読み終わると、続きが気になり探しに行くがなかったので諦める。また巡り合えるだろうと本屋には立ち寄る事にした。


 次の日には雨が上がり蒸し暑くなってきた。陽炎が立つほどの暑さ鳥肌が立つ。


 こういう時こそクーラーの効いた部屋にいたいが、ここはそういうものはない。

 肌が焼け黒くなったおっさんが大きな声で呼び込みをしているくらいだからこれが普通なのだろう。俺も冒険者らしく森に行くと少しヒヤッとした空気に身体が動くようになる。

 ちょうどいい暑さだな。

 汗をかいている。プールが懐かしいが今は違う事に集中だ。気配探知で魔物を知り、倒しては収納して行く。流石に地龍はデカすぎるので神速を使い倒すがそれ以外はなるべく使わない様にして倒して行く。


 レベルが上がる勢いがあまり良くないな。もうちょっと強いところに行くしかなくなってきた。


 部屋に戻り地図を広げるもう少し行ったところが辺境伯領になるからそこから出れば魔王領になる。


 そこまで行こう。


 次の日には宿を引き払うと、門を出て辺境伯領へと向かう。

 道中はなだらかな一本道だ。

 別に急がなくても問題はない。

 急がないといけないのは勇者の先輩たちだろう。

 もう王城に帰還の魔法陣はないし、今後召喚されることもないだろうな。


 その時のあの王がどの様な手に出るかが見ものだがその時には俺は帰ってるかもしれないしな。


 みんなをこの世界に置いて行く事になんの疑問も感じないのは何故だろう?

 流石にそこまで薄情になった気はしないがやはり世間を知ったのが一番大きな要因かも知れない。


 さて、この世界で最後に笑うのは王か魔王かどちらなのだろうな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る