第8話 寝ぐら
森の中を進むと掘建小屋がある。そこに前見た馬車があるな。結局捕まったのか?
「敵しゅぶぅぅぅ」
はぁ、これで出てくるか。初めて人の首を斬ったが盗賊だと思うとそうでもないな。
「どうしたぁ!」
“バン”とドアが開き盗賊どもが出てくると並んでくれるのを待つ。
「お前1人で」
神速
今日は人を殺したからな、できるだけ穏便にことを済ませたい。
足の腱を斬ってまわる。
解除すると立っているものはいない。
「はぁ、縄がないかな?」
と掘建小屋に入ると女戦士がちょうど縛られているところだったらしく自分で解いていた。
「くっ!お前さえ首を縦に振ればこんな事には!」
「俺のせいにするな!自分達で決めた事なんだろ?」
「お前には情けはないのか!」
「お前は俺に助けられた。違うか?」
「そうだ、だが仲間が」
「金と天秤にかけて命をベットしたのはお前らだ、俺には関係ない」
「…そうだったな。すまない」
「わかればいい」
とそこら辺にある縄を取って縛りに行く。
13人を縛り上げて積荷を収納し馬車に乗せる。
寝ぐらを探ってみると金貨が20枚ほど見つかった。女戦士は自分で服を着てその場に座っている。奥に行くと一緒にいた男たちが惨たらしく殺されていた。
「お前が葬れよ?」
「仲間だったんだ。それがそんな事に」
「お前の判断ミスだ」
「そう。私は間違った答えを出した。仲間に顔見せ出来ない」
「はぁ、その判断についてきたのはこいつらだろ?結局は一緒のことだ」
「クッ…そうだな」
ノロノロと立ち上がり仲間の死を見ると吐き出してしまう。俺だってこんなのを見たら吐き出したいのだが我慢している。
「はぁ、はぁ、トーニャ、キサラ、ゴンズ、それに若旦那、すまない」
と言って手をダガーで固定された4人を下ろして外に出す。もちろん1人でやらせる。
両手は仲間の血で染まり、それでもすまないと言い仲間らを並べギルドカードを取って行く。そしてさらに奥には捕まっていたであろう死体が転がっている。それらを集めギルドカードを探して見つけてやる。
「インフェルノ」
山火事を起こしそうだが魔法は燃え広がらない。最大火力で燃やして灰にする。
「ありがとう」
「いいや」
「私も手伝う」
「じゃあ御者を頼む」
そうして掘建小屋に魔法を放ち燃え盛る炎を見ながら思う。
盗賊みたいに残忍で獰猛な人間もいるんだ。それに比べればやはりイジメは狭い世界でしか生きられないやつの一つの拠り所なのかもしれないな。
こんな大きな世界を縮小した学校内で繰り広げてるんだ、いじめがなくならないはずだ。
俺は知れて良かった、空の広さを。
では行くか。
「あの、ごめんなさい」
「何がだ?」
「あなたにあたってしまい」
「それはもういい、仲間にも家族がいたんだろ?そこはキッチリとしてやれよ」
「…あぁ」
憂鬱になるよな、自分のせいで3人の仲間が殺されたんだから。
隣町まで急ぐことはないが、こいつら盗賊を生きたまま手渡したいので急いでもらう。
俺は荷台に乗って盗賊を見張るといっても足の腱が切れてるんだ動きようがない。
次の街は大きな塀に囲まれた街だった。
門兵に突き出すとこれまた賞金首だ。なら捕まえろって話なんだがそうもいかないのだろう。
明日ここに来る様に言われ、報奨金にも期待が持てる。
収納から積荷を戻すと荷馬車を操って商会に行くそうだ。若頭が死んだのは痛いとこだな。
「それじゃあな」
「あぁ、ありがとう」
「おう、気にするな」
と別れを告げ商会に走り去って行く荷馬車を見ながら盗賊が悪いのは間違いないけど、それを事前に知っているのに何も対策しない方も悪いな。じゃあ、やっぱりいじめられてるやつも悪いのか…まぁ、そうなのかもな。
街をぐるりと見て回る、子供が走り回り大人達は今日の売り上げを数えている様な時間帯だ。
ゆっくりと坂を登っていると宿屋があったのでそこに決める。一泊銀貨2枚半と微妙に高いが。一泊だけだしいいだろう。
食事はまあまあだな。煮込み料理だが味が薄いな。まぁ、食えればいいか。
「よう!」
「あ?なんだお前、どうした?」
「速攻でクビだよ、ギルドにも報告がいってランクの下降はしょうがないだろうな」
「まぁ。しょうがないな、飯くらい奢ってやる?あんまり上手くないけどな」
と最後は小声だ。
「あはは。ありがとう。ご馳走になるよ」
そのあとは色々と聞いたら金はギルドカードに預けてあるのが結構あるらしいのでそれで今後の支度は賄えるそうだ。収納持ちの俺には要らない機能だな。
それと怪我していた仲間には悪いが、パーティーは解散するとのことだ。流石にモチベは上がらないだろうしな。
そして俺に抱かれにきたと言う。
助けてもらった恩返しでもなく、ただ抱かれたいだけらしい。
部屋に入るなり熱いキスで始まり濃厚なSEXをするとようやく落ち着いたのか寝息が聞こえてきた。そして次の日には元気に旅立って行った。
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