第4話 解体
一方王城では、
「まだ見つからんのか?」
「はい!街中でそのような男は見てないと言われ」
「クソ!一人逃しただけでも何十人の働きをすると思ってるんだ!」
と宰相が怒っていたが、それ以上に怒っているのはいじめていた3人だ。
「あいつ一人だけ逃げやがって!」
「マジで殺そうぜ!」
「だよな!今度あったらただじゃおかねえぞ!」
とそこに部長が来る。
「お前らが追い詰めすぎたからだ!少しは気付けバカ!」
「「「はい!」」」
「にしても気づかれずにでていくなんて、有用なスキルを持っていたんだろうな?」
「あいつがですか?」
「当たり前だろ?お前たち3人ともあいつにしてやられたわけだ」
「クッ!」
「まぁ、勇者や聖女じゃなくてよかったけどいつ寝首を掻かれるかな?」
「ゲッ!」
「そうじゃん」
「クソッ!」
「まぁ、精々用心しろよ?」
と笑って行ってしまう部長に睨む。
「できるだけ3人は一緒にいたほうがいいんじゃ無いか?」
「ばーか、あいつにそんなことできるわけないだろ?」
「そりゃそうだ!逆にこっちがやってやんよ」
「まぁ、そりゃそうか」
と笑いながら訓練場に向かう。
訓練場ではもう勇者や賢者など複数人のグループは特訓を受けていた。
「あいつら今頃来たぜ?」
「ほっとけ、どうせ死ぬのはあいつらだからな」
「そりゃそうだ、部長だって戦士だろ?弱っ!」
「あんだけ威張ってたのにな?」
とこちらはこちらでグループができ始めていた。
女子は一丸となって訓練場にはまだ顔を出していない。
「だから戦争なんてやめりゃいいのよ!」
「そして帰せよ!髪が傷んできたし!」
「そのですね」
と兵士は言おうとするが、
「いいから出てって!」
「あと髪にいい油とか持ってきてよ!」
「は、はい」
と兵士を追い出すと、
「本当に帰れないのかしら?」
「どうだろうね?男子に頑張ってもらって私達は人殺しなんかしないんだから!」
「そうね!男子に任せればいいのよ!」
とそう言い放って部屋の中で寝そべっていた。
さて、魔法も覚えたしそろそろちゃんとレベル上げしないとな!
とヒロトは昼飯を食ってから出かけると、門を潜り外に出かける。
草原があり、奥には森が見える。そこまでいけば魔物がいるだろうと歩いて行ってみることにした。
道ができているので道なりに歩いて行き森に入ると、
神速
を使い走って獲物を探すと黒いクマがちょうど山道に出てくるところだった!
よしと剣を振り上げて首を斬る。
初めてだったので骨まで斬れない。
もう一度落ち着いて力を込め振り下ろす。
ストンと剣が綺麗に入って首を落とせたようだ。と収納にいれる。
自分がレベルが上がったのをまだ確認できないがそれからも鹿や猪などを狩って、解除するとレベルが急激に上がったことでレベル酔いというものを体験した。
筋肉が弾けるような痛みが続くと吐き気や頭痛もするので森の前で少し休んでいた。
「あれあんたヒロトか?」
「おぉ、アーシャだっけ?何してんだ?」
「そりゃ依頼だよ!なかなか見つかんなくてな」
「そうか?結構魔物が多いだろう?」
「私が探してるのはルビーベアーって言うクマだからな」
「ん?こいつか?」
収納から頭を出すと、
「収納持ちかよ!…それあんまり人に見せるなよ?」
「お、おお。分かった」
「チッ!しかし先越されるとはついてないな」
「別に、やろうか?」
「いらん!私は自分で探す」
「じゃあどこにいたかは?」
「それは教えてくれ」
とにっこり笑う。
場所を教えると走って行ってしまった。
ギルドに行き解体を教えてもらいたいと言うと隣の扉だと言うのでそこに入る。
血のムワッとした匂いで咽せそうになるが、我慢していると、
「おう!なんだ?初めてみるツラだな?初心者か?」
「そうだ、解体を教えて欲しい」
「おぉ、そうかそうか!教えてやるよ!俺はデジーだ。んじゃ獲物は?」
「クマだな」
「そりゃすげぇな!どこだ?」
「実は収納持ちだ」
小声で喋ると頷くデジー。
解体台まで行く、首を斬り落としたと言うと血も高音で売れるからとバケツを二、三個持ってくる。
「いくぞ?」
「おう、来い」
“ドサッ”と言う音と共に血が勢いよく出る。
それを上手いこと受け止めるデジー。
血がある程度出たところで解体開始だ。
デジーはことの他丁寧に教えてくれる。
「ダメになる獲物もあるからちゃんと覚えてくれた方がこっちも助かるからな」
「そうか」
内臓を取り皮を剥ぎ肉を分ける。
「ここまでくればあとは大丈夫だ」
「そうか!あとの獲物も同じ感じかな?」
「まだあるのか?」
「鹿と猪がいるが」
「よし!それも捌いていくぞ!」
「おう!」
と熊1、鹿2、猪4を解体し終わってステータスを見ると解体がスキルに加わっていた。
「よし!これだけできれば十分だ!ちゃんと解体用のダガーかなんかは一つ持っとくべきだぞ?」
「分かった、ありがとう」
「お前の名前は?」
「ヒロトだ!」
「そうか!ヒロト、これが今日の報酬だ、持っていけば交換してくれるぞ」
「おう!解体教えてくれてありがとな!」
「いいってことよ!また持ってこいよ!」
報酬は金貨2枚に銀貨80枚と良い値段で売れたな。
帰りにダガーを買って剣帯も新しくした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます