第3話 魔法


 朝食を食べのんびりとギルドに向かう。

 ギルドはとても大きな建物で主に冒険者と言う人に依頼を斡旋している。そして依頼を受けた冒険者は依頼を達成すると報酬が支払われ、依頼の達成率によりランクが決まってきて、ランクが上がればまた高額な報酬の依頼を斡旋してもらえる仕組みだ。


 僕はそこに今から登録する。

 入ってすぐに受付があるのでそこで、

「登録したいんですけど」

「はい、ではこれに書いてもらえますか?」

「はい」

「これでいいですか?」

 氏名と片手剣しか書いてないけどね。

「はい、名前だけしか書かない人もいますから」

「へぇ」

「ではこれに触っていただけますか」

 水晶に触ると青く光を放ち、カードを受け取る。ここでは水野は無しでヒロトで登録した。


 よし、あ、あとは、

「魔法屋ってどこにありますか?」

「それでしたらここをこういって」

「はい、ありがとう」

「どういたしまして」

 場所も聞けたし魔法屋に行ってみる。

 ちょっと路地裏になるけどいいか!

 そこはボロい古書店のような雰囲気だった。


「すいませーん」

「あらボウヤがなんかようかね?」

 お婆さんがでてくる。

「すいません、魔法のことを教えて欲しいのですが?」

「魔法のコーチかい?あたしゃ、厳しいよ?」

「お願いします」

「…てのは嘘で、魔法は魔導書を読めば自然と身につくもんだ。まずは魔力循環を覚えな」

 と金貨を要求されるので払うと、

「いいね、ちゃんと覚える気があるようじゃないか!」

 魔力循環の本を開けるとパラパラと捲れてパタンと閉じると消えてなくなったが頭の中には残ってる?

「今のが魔力循環だよ、やってみな」

 腹の奥丹田と呼ばれる場所から血液のように巡るイメージで循環させると、

「おぉ!上手じゃ無いか!」

「あはは、水の流れみたいですね」

「そうそう!そう言う感じ方は大事にしないとね。それじゃああとは四大魔法と呼ばれる火、水、風、土、どの適性を持ってるかだね?」

「どうやってわかるんですか?」

 お婆さんは奥から水晶を9つ持ってきた。

「右から火、水、風、土、それと雷、氷、重力、空間、時だ、右から魔力循環で魔力を流してみな」

「はい」

 赤、青、緑、茶、黄、水色、黒、白、虹と全部光った。やたら光っているのは青だな。

「こりゃたまげたね」

「全部光るのは珍しいとか?」

「当たり前だろ!ちょっと待ってな!」

 今度は銀の玉を持ってくるとまたやれと言うのでやると強く光る。

「全属性持ちかい!こりゃたまげたねぇ」

「そうですか?」

「それじゃあ金はかかるが金貨30枚稼いでおいで!そしたら全部の魔法を教えたげるよ」

「あ、あります」

「…ぶったまげたねぇ!あんた金持ちのボンボンかい?」

「あははそりゃ無いって!でも金はあるよ」

 と金貨30枚を出して、

「これで全部だね!」

「よっしゃ!本当は内緒だけど回復魔法もつけたげるよ」

 と小声になる。

「回復魔法はダメなの?」

「教会が牛耳ってるからね」

「そうなんだ、ラッキー!」

「じゃ、渡していくから読んじゃいなよ」

「わかったよ」

 ドンドン渡される魔導書をパラパラと読んでいく。


「はぁ、はぁ、はぁ、どうだい?」

「うん!まだ頭が混乱してるけどなんとか」

「そりゃそうだ、全適性持ちなんていないからね」

「あはは、ちょっとした混乱状態だよ」

「アーハッハッハッ!休んでいきな、茶でも淹れるかね」

 僕は腰を下ろして少し休む。

 頭の中がキシキシ痛いが時期に痛みが引いていくとスッキリしていく。

「はい、お茶だよ」

「ありがとう」

「それにしてもいいもの見させてもらったよ」

「あはは、こちらこそありがとう」


 お茶を飲むとステータスを見てみる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 水野 大翔ミズノヒロト 16歳

 レベル1 職業 旅人

 スキル マップ 収納 魔力循環 魔法(全)

 ユニーク 神速 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 確かに魔法を覚えたみたいだ。

 じゃあ、あの魔導書は?

「お婆さん、これなんだけど」

「…こりゃまた禁書庫からでも持ってきたのかい?」

「まぁ、そんなとこだけど、覚えられるかな?」

「魔力循環を覚えた今のお前さんなら…でもね、もっと魔力をつけてからじゃ無いとこれは危ないね」

「そうか、レベル上げしないといけないのか」

「そうさ、頑張りなよ?」

「うん!ありがとう!」

 お茶を飲み干して魔導書を収納すると魔法屋を出ていく。

「また来なよ」

「はい!」


 もう夕方か。

 オレンジ色の空を見ながら宿屋に向かうと夕食時だった。

 今日もここで食べる。

 コイントスのペテン師はもういないようだな。

 空いてる席に座って待つと、

「あんた見ない顔だね?新人かい?」

「そうですね、新人です」

「あははは、そんな口調じゃ舐められちまう」

「そうなんですか?じゃ無いか、そうなんだな」

「そうそう!乱暴者が多いから喋り方に気をつけな!」

「分かった、気をつけるよ」

「そうさ、それでいい!私はアーシャさ、あんたは?」

「ぼ…俺はヒロト」

「ヒロトね、なんだか王城の方が騒がしいみたいだけど、それ絡みかい?」

「そこは秘密だ」

「あははは、そうかい!もっと食べて肉つけなよ!あんた細っこいからね」

「あぁ、そうするよ」

 と運ばれてきた飯を食う。


 王城の方で騒ぎか、まぁ、気にすることはないか。

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