３月

３月

布団の中で目が覚める

世界の始まりに　絶望する

「夜明け」がなぜ

素晴らしい言葉として　蔓延っているのか

夜明けに殺された者だって

いるんじゃないのか

仕方なく

身体と　脳のために　光を浴びる

今日はいったい

どんな苦しみが　待ち受けているのだろうか

この世界は　愛されたがりの幽霊しかいない

もういいよ　わかったよ

そこの路を通らせてくれないか

うん　きみは充分すてきだよ

いったいなにが欲しいんだい？

賞賛

賛同

認知

きれいな愛？

きみは

夜明けの美しさに魅了され

長調の曲を愛し

そのメロディーの華麗さに

陶酔するのだろう

そんなのは　見せかけの

香料の入ったチョコレートでしかないよ

ああ　なにかを愛したいだけなんだ

闇の静謐さと

短調の安らぎと

ポリフォニーのやさしさに

春になっても

首に何かをまかないと　落ち着かないんだ

いつ幽霊に飲み込まれるか

わからないから

どうしよう

桜が咲き始めてしまったみたいだよ