二十一章 パラグラフリーディング

 成海はホテルにもどり、藤堂に電話をかけた。あした、関係者を集めるようにたのんだ。電話を終えると、葵と大浴場へと向かった。ゆっくりと入浴し、心身ともに一新する。

 つぎの日を迎える。多目的研究センターの玄関先で、藤堂と合流した。科捜研からの報告がとどいていた。報告書のコピーがわたされる。成海の推理したとおりだった。まだ、容疑者たちが集まるまで、時間があった。

 成海は殺害現場となった三浦の部屋へとはいる。天井裏の五指の痕跡を見た。すべての痕跡は、ふたの前後にのこっていた。窓の外には、照明ポールが見えており、事件当日とかわりはなかった。最後に、意外な場所へと向かう。

 二階の備品室だった。備品室にはクロマグロのぬいぐるみが置いてあった。成海は重要な発見だと考えていたが、藤堂には、成海がそこまで注目する理由がわからなかった。

 やがて、約束の時間となる。休憩室には、容疑者と関係者の八人が集められた。警察官が周囲を固める。机のうえには、証拠品が陳列されていた。成海は証拠品のまえに立った。全員の注目を浴びる。ついに、セントラルスケジュールの示唆を目印に、事件解決の推理をはじめるのだった。

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