八章 パラグラフリーディング

 成海の予想とは、まったくことなる話になっていた。藤堂は午前中の捜査によって、あたらしい手掛かりをえていた。橋口亜紀には、前科のある男と交際歴があった。

 木野という男だった。藤堂は亜紀と木野が共犯関係にあると考えていた。木野が三浦を殺害し、亜紀がはいったとき、窓から木野を逃がしたと考えていたのである。密室を打開できる方法だった。この推理を否定する根拠はなかった。亜紀は監視をつけられたまま、木野の発見を待つことになった。

 つぎに、加古があらわれる。加古は犯行時刻、カルテ整理室で電話投票していた。履歴がのこった携帯電話を受けとる。こちらも確認待ちとなった。成海たちは加古の話から、ガラス窓のストックがあることを知った。ガラス窓は密室の構成要素だ。倉庫を出入りする桐生に疑いがふかまった。

 つぎに話をきく容疑者は、ちょうど、その桐生であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る