第4話 ねこのごん吉の異変
そんなごん吉が、珍しく両親を見送った後も眠らず居間の机の上で、座っている。そして、洗濯物を畳むはるをじーっと見つめている。ごん吉が誰かが何かをしている時に、じーっとその方向を見つめることはよくあることだったので、はるは気にせず、洗濯物を畳み続けた。しばらくすると、どんっという音がした。その音の方へ目を向けると、ごん吉が、机から降りていた。ごん吉は体重が重いので、高いところから飛び降りた際、鈍い音がなる。てってってっとごん吉ははるに近づいていく。そして、はるの右脇で佇む。はるはごん吉が近づいてきてくれたことが嬉しくて、
「どうしたの?ごん吉。」と声をかける。そうすると、
「お腹減った。」とごん吉は答えた。
はるは、左脇に置いていた、携帯を手に取った。画面は真っ暗で、電源は切っていた。電源を付けて、バックグラウンド再生を確認したが、何も再生されていない。
「携帯壊れたかな?」
「お腹減った!」前足でたしたしとはるのふとももを叩きながらごん吉がもう一度訴える。
はるは、飛び上がった。
「ひぇぇぇえ!なに!なに!」
その様子にごん吉も驚き、飛び上がった。そしてまたたく間に居間の方へ逃げていった。そして、机の脚の裏から、じーっとはるを見つめる。しっぽが大きく膨らんでいた。
そんなごん吉を見て、はるの動揺が少し収まった。
「化け猫・・・?」
「だれが化け猫じゃい!」
「ひっ!」
「どうして喋れるの?」
あれからしばらくして、完全に落ち着きを取り戻したはるは、再び洗濯物を畳みながら、右脇に座るごん吉に色々と質問していた。
「どうしてって言われても・・・。今までもぼくははるに話しかけてたぞ。」
「じゃあ、わたしが急にごん吉の言ってることが分かるようになったってこと?」
「しらないよ。それよりお腹減った。」
先ほどから何の質問をしても、結局最後には「お腹が空いた」しか言わないごん吉だった。
「朝食べたじゃん。まだお昼の時間じゃないよ。」
時刻は、10時ちょうどといったところだった。
「だったら遊んで!」
「いいけど・・・。今日は眠らないの?いつもこの時間は寝てるのに・・・。」
「今日はなんだか目が冴えてる!」
「目が冴えてるなんて言い回しどこで覚えたのよ・・・。」
「テレビ!」
「テレビすごい・・・。」
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