第3話 ねこのごん吉

 はるの家には、母、父、はる、そして猫のごん吉がいる。ごん吉はある日突然、はるの家の庭にやってきて、三日三晩泣いていたところを見かねた父に拾われた。母は、かいがいしく猫を世話する父を見て、「自分の子供の世話はしなかったくせに」と小言を言っていた。そんなごん吉も、手のひらサイズだだったころが、嘘のように立派に成長した。立派すぎるくらいだ。


 ごん吉は、はるが学校から帰ってくると、いつも居間の椅子の上で、すやすやと寝ていた。疲れて帰ってきたはるはいつもごん吉に直行して、わしゃわしゃと撫でまくる。ごん吉も寂しかったのか、最初の方はごろごろと喉を鳴らすのだが、だんだん嫌になってくるのか、突然、手を噛んだり、げしげしと足で手を蹴ったりして抵抗する。そんなところも含めて、はるにとってごん吉は日々の大事な癒しだった。


 それが不登校になって、ごん吉と二人きりの時間を過ごすことになり、学校に行っていた間、ごん吉が、家でどんな風に過ごしていたのか必然的に知ることになった。まず、朝父と母を玄関先で見送ると、しばらくうろうろした後、居間の椅子の上で寝る。そして、お昼ご飯の時間の一時間前には起きてきて、自動餌やり機の周辺で待機、食べると、排泄をし、それで興奮したのか走り回る。そしてまた誰かが返ってくるまで居間の椅子の上で眠りにつく。

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