五肌目『星影』

広すぎるベッドに

肢体を投げ出して

過ぎ去りし夜の

思いにふけ


人よりもあれこれと

夢想するのが得意だから

あのひとの事は

有り有りと頭に浮かぶ


あの熱はもう

直に感じることは無いけれど

閉じた瞼にふと映してしまうのは

未練では無い


居心地の良い記憶に

心と身体を浸らせて

自分を甘やかすのは

私の密やかな愉しみ


はじめはぎこちなく

恥じらい帯びた手も

今ではもう至極当然

と言うように良い処


世間での名称なんて

このひとときには

意味を成さない。



     Fin.





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