三肌目『薄れゆく余韻』

満ち足りた夜が明けて

カーテンの隙間からこぼれる

朝のまばゆい光を

ぼんやりと見つめている


いつもこんな目覚めを迎えると

こそばゆい気持ちと、

ぴったりと

身体に沿うようにあった

片割れを喪失した心地がする


内側にあった私では無い熱は

もうそこには存在しなくて

わずかな気怠さと

時々鈍痛をともなう


心の底から

誰かを求めることは

はしたない事なのだろうか


でも求めすぎれば遠ざかっていく


いつからこうなって

しまったのだろう


こんな事を考えていると

私はとても物欲しそうな顔を

して見えるらしい


きらきらと輝く

新しい一日を横目に

私は、肌にあった温もりのなごりが

澄んだ外気が触れる度

徐々に失われていくのを

静かに感じている。



     Fin.





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