第72話 逆の目線2

「我らの技術は外にとって危険なんだ。手に余る力を得た文明の終わりは悲惨だよ」


 フラクロウへの技術提供を拒む理由を、ハイシアは叫んでいた。


「他者の知識や興味に敬意を払えない者を、大図書館には招けない」

「3回チャンスをあげました。『望む形でないから』と彼女は手を取らなかった」


 大図書館員であるプルウィアとルゥルゥは、「アンモを招かないのか」と尋ねたとき、悲しそうに首を振った。


いい子であること美しさを、お前が言うほど簡単に捨てられるのなら、わたしはっ、こんなに、苦しまなかった!!!」


 ミルキから寄せられる”美しさへの期待”にリプルはひどく苦しんでいた。


「それは恋だよ、ミルキ。悪いけど、俺にはこたえられない感情だ」


 ハイシアのそれは、精霊種が答えられる精一杯の誠実だった。


「ファローは十分仕置きを受けた! これ以上の罰は不要であると、ハイシアの名において宣言する!」


 優しさが理解されないと分かっていても、私刑を避けるためにはパフォーマンスのような罰が必要だった。


「セルーナ頼む。今、ここを見てくれ」


 血反吐を吐きながら告げた願いは、最後まで相手に届かなかった。

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