第66話 ミルキ2

「どうせなら、もっと早く罰せばよかったのに」

「精霊は望まれたこと以外に手を出すことはできない」

「分かってるよ」


 セルーナは唇を尖らせる。


「聞き入れないと諦めたんだ。償うためにイヌダシオンに来たのに、どうして償わなければいけないのか、ミルキは知ろうとしなかった」

「見限ったんだ。ミルキのことも」

「見守るつもりで、見捨てていたね」


 会話しながら思い出す。

 山のような巨体にいつも「リプルを返しなさい」と叫び寄った姿を。


「アアスフィアと同じだった。彼女は彼女で、変えられない性質を持っていただけだ。それが……世界にとって到底受け入れられるものではなかっただけで」

「救いを無視したのはリプル自身の責任だよ。兄さんの責任じゃない」

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