第60話 カフェ・スラブ2
「兄さんにその機能はなかった。ガーゼが心の傷にも効かなくちゃおかしいって思い込んじゃいけなかった」
「適切な例えだ」
「その割に納得いっていなさそうだけど」
「例え機能がなくても、努力しようとしていれば、何か一つ変わったかなって」
「何か一つ変わっていたら、もっと大勢ころされた」
セルーナは硬い表情で呟いた。
ハイシアは答えない。セルーナのループに踏み込むつもりは、なさそうだ。
「僕に生物種になれって言った理由はそんな感じ?」
「キッカケは大体話したさ」
セルーナは冷蔵庫から出したバニラアイスクリームをスプーンですくって、生クリームの上に降ろした。
ふわふわの泡の上にキンキンに冷えた円形が乗せられる。
差し出されるカップを受け取りながら、ハイシアは呟いた。
「トワイライトはなんて言って、セルーナを説得したんだ? 後学のために聞いておきたい」
「さっき兄さんが言った通り。都合よくて甘い言葉が大体だよ」
セルーナが指折り言葉を唱えるのに、ハイシアは耳を傾ける。
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