第56話 本心?

「大騒ぎだったよね」


 手際よくロートをかき混ぜながら、セルーナが息を吐く。


「あれを直接見せたわけじゃないんならよかった」

「案外、本人たちは平気かもしれないよ」

「そう振舞えるのと本当に傷ついていないかは別ってこと」


 コーヒー豆が盛り上がる。

 ハイシアはクリームがつやつやとし始めたのを見て、ツノが立つかを試し始める。

 盛り上がったコーヒー豆を拡販しながら、セルーナは「ねぇ」と声を上げる。今までより一段沈んだ声だった。


「生物種になれって、兄さんの本心?」


 ハイシアはツノの立った生クリームをセルーナのところへ持っていきながら「そうだなぁ」と平坦な声を出した。

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