第40話 それで、どうする?

 セルーナは声をひそめたまま続けた。


「でも、やり方を大きく間違えた。そこは反省してる」

「どこからやり方を間違えたと思ってるの?」


 ハイシアの声には、どこか責めるような色があった。

 セルーナは躊躇うことなくコーヒーを一口飲んで、言い切る。


「イナゴ一族のこと。あってはならなかった」

「それだけか?」


 ハイシアの言葉は険しい。セルーナはとんとんと指で机を叩いた。

 考えるように斜めを向いて口を開く。


「勝手に食料を持ち出したこと、グライプを受け入れたこと、どれもイヌダシオンを危険にさらした」


 ハイシアはじっとセルーナを見つめてから空のカップを持ち上げた。

 人差し指だけで支えられたカップがゆらゆら揺れる。


「お前が使者との対話に反発した日、大図書館の留学生たちは帰った」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る