第37話 イナゴ一族
イナゴの一族がやってきたとき、ハイシアはひどい胸やけと嘔気に襲われて目を覚ました。貫頭衣を簡素にまとっただけの姿で外に出ると、星の一等輝く星月夜を、黒雲のような集団が覆う様が見えた。
長く広がるぼろの羽、黒の強い褐色の身体、短い脚と大きな頭。
ハイシアはすぐさま結界を張ろうとした。
手を捕まれた。
「兄さん、何やってるの」
「イナゴが来た。備蓄が荒らされる前に結界を張らないと」
「なんでそんなひどいことするのさ。あんなに瘦せて、可哀そうじゃないか!」
「彼らの行いが彼らに苦難を与えたんだ。可哀そうだとしても、我らは我らの守るべきものを守らないと――」
「僕が守るべきは生類すべてだ」
言い切って走っていくセルーナの背中を見送り、ハイシアは今度こそ結界を張った。
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