第36話 生物種の振る舞い
ハイシアはコーヒーカップを持ち上げて肩をすくめて見せる。
実に生物種らしいやり方は、しかしセルーナのお気に召さなかったらしい。
「兄さん」と少し怒った声が返る。
「なんだよ、ちゃんとしてただろう?」
「兄さん、鈍いよ」
「いきなり悪口か」
「うるさい分からず屋。本当にキャメルが可哀そうになってきた」
「分からず屋はそっちだろう。俺の話を聞きやしない」
「昔はね? なら行ってみてよ。今、昔の嫌だったこと全部!」
ハイシアは眉を持ち上げてカップを置いた。
そろえた手を優雅にそろえて、足を組み、体を斜めにする。
「イヌダシオンを危険にさらしたこと。……今も昔も、俺が怒っているのはこの一点だ」
思い出が再生される。
ハイシアがセルーナを見限る、最初の一歩が。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます