第33話 ファローとの決闘
「役に立つから捨てないで!」
血を吐くような叫びと共に、針状の尾がしなる。体を最低限右に動かして、ハイシアは攻撃を避ける。針から伸びるチューブを掴んで、ファローの体を大振りに飛ばす。
ファローは悲鳴を上げながら、四つ足で着地し、またハイシアに肉薄する。
「今度こそちゃんとやるから! 間違えないから! おねがい見捨てないで!」
向かう先のハイシアは軽く目を伏せて、構える様子もない。
「何度でも言うよ。手紙番をやめさせるのはケジメだ」
前足から伸びた伸縮腕の間合いを難なく読み、ハイシアはのけぞる勢いそのままにファローを蹴り上げる。強制的に太陽へ向かったファローの視線を、ハイシアは掌底でさらに上へと撃ち上げる。
「君の価値が揺らぐわけじゃない」
ファローが手紙を飛ばしてしまったがために、使者として赴いていたゴルフェートがライジュウとフラクロウの挟撃を受けて死亡した。
ハイシアは、ファローを手紙番から降ろす処分を下した。
それに不服を申し立ててファローは決闘を申し込んだが、結局、ハイシアに傷一つつけることはできなかった。
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