第25話 フラクロウの使者との会合

 大テントの砂で一段高く作られた場所にハイシアは座っていた。


 すぐ隣には、質素な文机に向かいあしのペンを構えたクラッカがいる。

 外では風がゴウゴウ鳴り、入口から入り込んだ風がテントの上部に垂らされた赤や黄色や黒の布をゆるりと揺らした。


 ハイシアの目の前に座るフラクロウが、羽をふわりと膨らませ、震えながら戻す。


「では改めて自己紹介をしましょう。わたしはハイシア。イヌダシオンの今の首です」


「私はタロン・アヴィアント・ミストライズ。女王陛下の意思の下、この地を訪れた」


「そう焦らずに……まずはお茶でもいかがでしょう?」


 ハイシアの目くばせでクラッカが手を二度叩く。

 入口からヤムが静かに入ってくる。逞しい四肢が地面を掴み、猿人に似た上半身から伸びた補助腕前腕に盆を持っている。盆には3つ茶器が置かれていた。


 まずタロンの前に茶器が差し出され、次いでハイシアに差し出される。

 毒が入っていないことを証明するため、ハイシアが茶を一息に飲み干す。タロンはハイシアが茶を間違いなく飲み込んだことを確認してから、自分も茶を飲んだ。

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