第24話 セルーナ今昔
「はじめはヤムやクラッカと同じ。自分のやるべきことをやるって決めて動く側だった。満足も不満足も持たず、期待も魅力も感じる、復讐でも受容でもなく、過去や将来に縛られない。すべてに等しく無関心で、まさに精霊だった」
電気ランプはゆっくりと水を熱していく。
フラスコの内側についた泡を眺めて、セルーナは微笑んでいた。そんなところまで昔とは正反対だ。
「でもある時から恐怖を抱いた。恐怖が疑念に、疑念が不満に変わるのを、俺は止められなかった」
「……僕はさ、フラクロウと手を組める兄さんが怖かったんだ」
ぽつりと落とされたセルーナの呟きに、ハイシアは静かに首を傾げた。
「セルーナだって組んだだろう?」
「トワイライトに引きずられながら、だけどね」
セルーナの苦笑を、ハイシアは無表情で見つめる。
案じる色と怒りとが同時に発せられたからだろう。セルーナは居心地悪そうな顔をした。ハイシアはセルーナからフラスコへ、視線をそらした。
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