第23話 じゃあ

「例えばミッドはイヌダシオンでの生活に満足していた。技術に期待はしても魅力を感じてもいなかった」

「アクティ、ルゥルゥ、スノゥもそんな感じだったっけ」


 ハイシアは淡々と、忘れていた思い出を壊さないように取り出していく。

 フラスコに水を入れながら、セルーナは相槌を打った。


「シェルやモルギアナは強い復讐心を持っていた。でもトワイライトとは違って野心がなかった」

「ミルキは?」

「イヌダシオンの技術に魅入られていた」

「アンモとファロー」

「不満と野心があったけれど、復讐心は持っていなかったと思うな」

「じゃあ、僕は?」


 ハイシアは凍ったような無表情をセルーナに向ける。悲しんでいるようだ。

 電気ランプが付いたことを確認するセルーナは、ただ穏やかな表情をしている。

 まるきり、昔とは違った。

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