第22話 おさらい

「いきなり生物種になれって言ってきたのはそれで?」

「ほかにも理由があった」


 ハイシアは否定してからコーヒーミルを見た。

 セルーナの手元にこんもりと粉が盛り上がっているのを見て、ペダルをこぐ足を止める。

 黙って配線をつなぎなおす。


「兄さん、聞いてもいい?」

「……長くなるぞ」

「コーヒー3杯まで、付き合ってくれるのでしょう?」


 セルーナがサイフォンに手を添えて言った。

 ロートに粉が注がれる様子をハイシアは神妙に眺める。


「まずイヌダシオン内部にもとから対立があったことは分かるな」

「うん」


 浄化施設イヌダシオン。

 本来は役目や宿命をゆがめられて、生類の敵になった者たちを隔離・浄化するための施設。

 そこに留学者であるアンモ、ルゥルゥ、イサナの3名。それからヤム率いる元ヤジュウの面々が合流した30名。ハイシアがゴルフェートの死により受け継いだイヌダシオンには、それだけの人数がいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る