第12話 後悔

「うぅん、コンセントは入ってるし……兄さん? 兄さんってば、ぼーっとしちゃってどうしたの?」

「あ、悪い。ヒメコマネズミを拾った日のこと思い出してた。あのときは、セルーナだって分からなかったな」

「バレたループではイヌダシオンが燃えたよ」

「……助けなかったことは?」

「あるlフラクロウに攻め滅ぼされた」

「そっか。ある一面ではトワイライトが正しかったわけだ」

「フラクロウの強さへの注意だけね」


 セルーナは努めて平静な声を出したみたいだった。コンセントを入れて電源ボタンを押し、動かないコーヒーミルに肩をすくめる。

 見上げた空には罅が入って見えただろう。セルーナは目を細めた。


「世界がこんなだし、予備電源を使ったほうがいいかもしれないね」

「予備電源なら自転車があったぞ」

「じゃ、それ使おう」


 セルーナとハイシアが協力して配線を付け替えていく。

 ハイシアは自転車にまたがって、肘が棚に当たらないかを気にしているようだった。


「……兄さんを、海に還した日のこと、僕、ずっと覚えてる」

「セルーナ、だから」

「コーヒー3杯までだったら付き合ってくれるんでしょう!」


 叫んだセルーナに、ハイシアは口を結び、唇を噛んだ。

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