第4話 古代文明の技術

 ハイシアもセルーナも、世界が崩れ去る様を一度見た。


 愛し、守るために命を捧げた世界が『灰の災害』に蹂躙じゅうりんされて、灰以外の何も存在しない空間になる様を見た。


 その世界で懸命に戦う王女を見守り、空に隔離かくりされた島で無垢ゆえ悪辣あくらつな振る舞いをする生物たちを信じ続けた。


 セルーナは一つを守った。

 ハイシアはすべて見ていた。


 見守るだけだった。

 指一本動かすことも、許されてはいなかった。


 世界を滅ぼした技術は、自分たちが守ってきた古代文明の技術ものだった。

 世界を守った技術も、自分たちが守ってきた古代文明の技術ものだった。

 世界を再生させた技術も、自分たちが守ってきた古代文明の技術ものだった。


 使う者が違うだけで、技術は顔を変えた。


 知っていたから、ハイシアは拒んだ。セルーナを止めようともした。


 里を開き、有翼人フラクロウに技術を渡すことを、拒んだ。

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