第44話 目覚める無の力
「空に
その声に視線を上げた僕の視界に《むこうの世界》のコンピュータゲームやファンタジーアニメなどに出てくる羽の生えた獣のようなモンスターが飛び込んでくる。
キアーラさんが動揺を隠せないまでも、我に返って守備隊に指示を出した。
「空の
一拍おいて《
だが、高低差が大きいために矢は届かず、
「ここからじゃ、限界が──」
誰かが焦りの声を上げた瞬間、
今までと同じように、
「見たか、《星の聖戦士》様たちのお力を!!」
守備隊から歓声が沸き起こる。
だが、それはすぐに
いかんせん、空の
『このままじゃ《
頭の中にピーノの声が響いた。
僕はとっさに判断を下す。
「キアーラさん! みんなを率いて樹の上へ!」
一瞬、
「みんな! ここはキョウヤ殿に任せて、上に行くよ! 樹の中に
キアーラさんに続いて、守備隊の面々は入口から《
僕はスウッと息を吐き出してから、《
アストルの《
「……ここを守り切らないと、中には戦えない人や子供たちがいるんだ!」
こみあげてくる恐怖と不安に
すると、剣を通じて力が広がるような感覚が僕を包んだ。
薄く光る透明な盾が、僕を中心に今までより、
「──来るっ!!」
ゴウッという音とともに、再び帝国軍が
しかも、今度は《
向かってくる炎の群れに、さすがに僕は恐怖に押しつぶされそうになる。
その
──キョウヤ、怖れるな。そなたにも加護の力は存在している。《
次の瞬間、僕の頭の中に光が炸裂した。
「これ……はっ、うああああああっ!!」
僕は剣を握る力を強めて集中力を一気に高める。
すると、《光の盾》が上下左右、《
──シャリシャリシャインッ!!
澄んだ鈴の音のような音を立てて、《光の盾》にぶつかった
──シャギィィィィッ!!
さらに、地上を駆けてきた
『オッサン、やるじゃん!』
ピーノの
アストルも珍しく興奮した様子で声を上げる。
『キョウヤ殿の《光の盾》のおかげで、空の
僕の巨大な《光の盾》は触れるもの全てを光の粉へと
帝国軍が放った空飛ぶ
『──勝った!』
ツァーシュの熱がこもった叫び声が《
一時期は
『キョウヤが
『ああ、こっちは任せろ、反撃開始といくぜ!」
トモとシリルが
◇◆◇
前方を全てを
しかし──
「──全軍突撃」
カルミネの冷たい声が、帝国軍兵の身体を縛り付けた。
ヴェリザリオが「正気か!?」というような表情で少年将軍に相対する。
「あれをご覧下さい。あの光に触れると矢も炎も消滅してしまうのですぞ。そこへ突撃せよなどと、冷静な判断とは言い難いですぞ!」
それでも、カルミネは右手で払うように、
「全軍突撃──あの《光の壁》は、おそらく《星の聖戦士》が展開しているモノだよね。だったら、
そう言うと、カルミネは背後へと振り返り、付き従う黒フードの兵士たちに告げた。
「まずは、犬どもを
黒フードたちは命令を従順に実行する。
さらに、カルミネも同じように──黒フードたちよりも大きな魔力の
「まずは、犬やコウモリたち。これで壁を壊せればいいけど、できなかったら──」
そう呟く少年将軍の後ろで、ヴェリザリオが苦痛に耐えるような表情を浮かべる。
「──できなかったら、その時はオマエたちにも頑張ってもらうからね」
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