第41話 互いの心を信じて
彼はアルバートが破壊した山道の修復を、
そのため、《
だが、カルミネはその裏をかいて、主要部隊をいくつもの
この動きを察知したピーノは、アストルとツァーシュに
「こんな
《
「こればかりは仕方がありません。山中に紛れ込まれたら空から見ることは難しくなります」
いくら《
アストルが全員を見回す。
「大丈夫です。この侵攻速度は想定外でしたが、対応する余地は残っています」
そう言うとアストルは、ピーノに《
「作戦の基本は敵を《
《
敵の陣は長く伸びることが予想されるので、先頭部分からの攻撃を正面から受け止めて凌ぎつつ、攻撃能力が高い《星の聖戦士》が
「──時間がありません。役割分担はこちらで決めさせてもらいました」
ひとりひとりに視線を向けながら、アストルが説明を続ける。
まずは
作戦を立案した
そして、残るアストルと僕が《
「僕も戦場に出るんだね……」
音を立てて唾を飲み込む僕。
心なしか手が震えている。
アストルが優しげに肩に手を置いた。
「キョウヤ殿が戦いに抵抗をお持ちなのは承知しています。ですので、こう考えてみてください。あくまで自分の仕事は防御に専念することだと」
《
物は言いようというレベルではあるが、僕はアストルの
そんな、僕の背中をシリルが思いっきり叩く。
「なに、なっさけない声だしてるんだよ。一番年くってるんだから、シャキッとしろよな」
口調はキツイが、語気に怒りは含まれていなかった。
反対方向からアルバートも同じように、僕の背中を叩く。
「そうだぜ、おれたちの帰る場所の守りは任せたからな。キョウヤだったら大丈夫だって」
続けてラースが僕を励ますように笑いかけてくる。
「俺たちには、それぞれの能力や考え方がある。それに応じて全力を尽くせば良い。そして、あいつらもそのことは理解しているはずだ」
ラースがツァーシュやピーノを親指で示す。
「俺たちはキョウヤのことを信じる。だから、キョウヤも俺たちのことを信じてくれ。そうすれば、今回も乗り越えることができるだろう」
場に沈黙が降りた。
ラースが少し戸惑い気味に辺りを見回す。
「……なんか、間違ったことを言っただろうか」
「……いや」
笑いを
「間違ってはいないけど、なかなかそんな風に真顔でクサいセリフは言えないかなって」
「コホン──うむ、確かに、我も
ツァーシュも明後日の方向を見上げながら、指先で顎のあたりを掻く。
今まで、黙ってやり取りを見つめていたトモが、笑いながら両手を打ちつけた。
「まぁ、なんや。戦いの前のおしゃべりはここまでってことにしとこ。今、俺たちがせなならんことは、みんなで《
「ええ、そのとおりです! この戦いが私たちの大いなる一歩になるのです!」
アストルもトモの言葉に応じて
少し遅れて、それぞれの表情を浮かべつつ、他の仲間たちも続いていく。
「──よっしゃ! やってやるぜ!」
「──あまり力みすぎると肝心なところでヘマするぜ」
「──目の前の戦場は任せた。後方は我らに任せるがよい」
「──俺は皆をしんじる、だから皆も俺を信じていいぞ」
「──まだ言ってるよ、実は気に入った?」
「──みんなありがとう、僕もできる限りのことはやってみせる」
《星の聖戦士》たちの反撃──大陸全土を巻き込んで繰り広げられることになる長き戦いの最初の一戦が今、はじまろうとしていた。
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