第39話 星霊樹
──《
僕たちを
シリルがため息をつく。
「性格の悪さはオレ以上なのは確かだな。ネチネチネチネチ追い込みかけてくるあのやり口。絶対に好きにはなれないけど、能力的には無視できないと思うぜ」
「
自分たちには《星の加護》をもつ《聖戦士》が八人もいる。実際、その力はそれぞれが一軍に
「で、そのガキンチョ将軍の部隊が、峠の向こうに
ピーノが脳内共有した地図画像の中──山向こうの最寄りの街付近に規模の大きな
アストルが湯に濡れた金髪を
「《
《ヴァレンティーノ公》という名前に誰も心当たりはなかったようだ。おそらくは《むこうの世界》で
トモがポンと手を打って微妙な空気を打ち払う。
「んじゃ、とりあえず今晩は全員ゆっくり休んで、明日から本格的に動くってことでエエな」
敵に追い詰められる格好で、ここ《
むしろ、気力が高まり、今までの
○
「《
風に長い髪をなびかせながら佇む少女が、歌うような声で呟きを風に乗せていく。
「すべては
──《星の聖戦士》たちの反撃が始まろうとしていた。
○
《
「これ、いったい何階くらいあるんだ、広すぎだろ……」
「あ、ここから外に出られるな──お、枝の上も広いぞ、こりゃ、イイ眺めだ!」
「あちこちに泉が湧いているな……ということは、樹の中を水が流れているということか」
「もともと木とか植物って地下から水を吸い上げているからね。っていっても、この樹に関しては、そういう常識が通用するとは思えないけど」
「この転送装置──エレベーターとやらは、いったいどういう仕組みで動作するのだ……?」
「それも気になるけど、樹の内部には窓がないのに、外と同じ明るさになってるよな、どこから光が……」
「というか、そもそも、この樹の中、とても過ごしやすいよね。エアコンもないのに温度や湿度も管理されているような」
「エアコン、って何それ?」
《
僕たちがとりあえず一通り探索した結果、地上部三十二層、地下部六層の計三十八層で構成されていることが判明している。《隠れ村》から脱出してきた人々だけでは、とうてい使い切れないほどの
さらに驚いたのは、さまざまな仕掛けである。
各層ごとに、それぞれの層を自由に行き来できる《
人々が生活する場所として、理想的な環境が揃っていた。
──どうじゃ、おぬしたちの役に立ちそうかのう。
いつのまにか、四人の後ろについてきていた《星の
《
僕は慌てて手を振った。
「役に立つどころか、充分、いや、それ以上です、本当に助かります」
──そうか。
──内部の造作は《《
「え、おれ?」
間の抜けた声で自分自身を指さすアルバート。
「……って、マジか。そんな力もあったなんて知らなかったよ。この力があったんだったら、《隠れ村》から逃げてるとき、もっと快適にすごせたんじゃないか?」
ビックリした顔で見下ろすアルバートに、
「……よっしゃ、やってみる」
アルバートはいったん息を吐き出してから、床に手をついて目を閉じた。
精神集中。
すると、次の瞬間、床が盛り上がり、大きな台──テーブルへと姿を変えていく。
「おお……できた。頭ん中のイメージ通りだ」
何が何だかわからないと戸惑う僕たちに、アルバートが説明してくれる。
「おれの《
部屋を仕切るための壁や扉、テーブルや椅子などの家具など、いくらでも作れるぞ、と明るく笑う赤毛の少年。
「そういうことなら話は早い」
「うん、そうだね」
互いに視線を交わし合ったツァーシュとピーノは同時にうなずくと、それぞれがアルバートの肩を掴んだ。
「いろいろと必要なものがあるのでな、さっそく作ってもらうぞ。設計は我がする」
「うん、僕の方もアイデアたくさんあるから、つきあってもらうよ。というか、外の
「え、え、ちょっと、え……お
二人に引きずられる格好で連れ去られていくアルバートに、頑張れよ、と手を振る僕。
「……そっちは三人に任せるとして」
そう呟きながら、僕は《星の
「いくつか話を聞かせてもらいたいことがあるんだけど、いいかな」
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