第34話 星の巫女に導かれて
「──《星の聖戦士》たちよ、《
その言葉がビアンカの口から放たれたのと同時に、頭の中に
「今の──!?」
僕が声を上げようとするのを、ピーノが手を挙げて制した。《
「今の樹の映像、他のやつらも見えたって言ってる」
「銀色の樹──《
戸惑いの表情を浮かべる僕にピーノが
しかも、イメージだけではない。全員がその《
宙に浮いたままのビアンカの口から、同じ言葉がもう一度繰り返された。
「ビアンカ……いや、違う。あなたはいったい?」
少女の瞳が開かれた。そこにあったのはいつもとは違う、澄んだ
「わらわは《
全身から
「すまぬ。本来であれば、わらわ自身がそなたらを導かねばならぬのだが、今は力を失ってしまっておっての。このように意識を失った
ビアンカの身体を借りたという《星の
良からぬ
「とにかく、《星の聖戦士》たちには《
突然のことに、その場にいた全員が、それぞれの表情で呆然としてしまっていた。
そして、《星の
「最後にわらわの残り少ない力を、この幼子に与えよう。このような形で無理矢理身体を借りた、ささやかな礼だと思ってくれ──」
その言葉を最後に、ビアンカの身体から光が消える。
そのまま崩れ落ちる少女の身体を僕は慌てて抱き留めた。
恐る恐る視線を落とすと、ビアンカの顔から赤みと苦しそうな表情が消え、呼吸も穏やかになっていた。
「キョウヤ兄ちゃん、ビアンカは……?」
ずっと反対側の手を取っていたトビアが僕の顔を見上げてくる。
「わからないけど……なんか、熱も下がって落ち着いているようにもみえる……」
「あ、ああ、……ちょっと待て」
驚愕から我に返った医者は再びビアンカの身体を調べはじめ、驚きの声を上げる。
「なんてことだ、完全に熱もひいている……《
○
僕はビアンカを医者とキアーラたちに任せて、アルバート、ピーノとともに《
『──それでは、とりあえず《星の
アストルの示した結論に、全員が同意を示す。
「あなたたちは《星の聖戦士》様だったのですね」
ビアンカを
「知らぬこととはいえ、失礼なことを申し上げました。お許しください」
「いえ、そんな!? こちらこそ
慌てて手を振る僕に、青年医師は穏やかな表情で話しかけてくる。
「……ひとつ、提案です。私もここから先、《
僕がアルバートとピーノに視線を向けると、判断は任せる、と、それぞれの身振りで示してきた。
確かに、子供や
不意に、頭の中にシリルの声が流れ込んできた。
『そんなに不安にならなくてもイイと思うぜ』
一瞬、驚いたが、《
ツァーシュがシリルの言葉を補足した。
『その医者を今回連れてきたのも偶然であろう。しかも、アルバートが問答無用で
僕は《
「──わかりました、お願いします。ただ、ここから先、苦しい旅の日々が続くと思います。それでも本当によろしいのですか?」
「はい、問題ありません」
青年医師は僕の手を取った。
「私の名はパオロと申します。こう見えても昨年まで
そこまで言うと、医者──パオロはアルバートの方へ振り向いた。
「それに、私は
「ま、そーなるよね」
アルバートが苦笑しつつ頭を掻く。
僕は深々と一礼した。
「それでは、パオロさん。これからよろしくお願いします」
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