第25話 この世界で生きるという決断
「今回はキョウヤ殿の身に危険が及んだこともあり、半ば流れでシリル殿がキョウヤ殿を
アストルはそう切り出した。
「我々は《
まず、やらなければならないことは《こちらの世界》に迷い込んだ自分たちを助けてくれた、貧しいながらも優しい人々の力になることだ、とアストルは語った。
「そのために作ったのが、この《
この《
シリルが言葉を継いだ。
「ってことは、必然的にオレたちは帝国や《
トモが頭を掻きつつ、ニヤリと笑う。
「俺たちは、みんな《むこうの世界》から弾き出されたようなもんなんや。せやから、逆にそんな人間たちが集まって、《こっちの世界》で新しい国を
「そこまで先走らないとしても」
再びアストルが穏やかな笑顔を浮かべて、やんわりと制する。
「運命とか《
自分たちと一緒に行動するということは、そう言うことだとアストルが淡々と続ける。
僕は天井に視線を向けて考え込んだ後、ゆっくりと周りの少年たちと視線を交わし、最後にアストルと正面から向き合った。
「──結論から言うと、一緒に行動させてもらいたいと考えています」
そう口にしてから、目を閉じて半ば自分自身に語りかけるように言葉を続ける。
僕は戦いという行為とは無縁の人生を送ってきたひ弱な人間で、正直、そういう現実を突きつけられると怯んでしまう。たとえば、誰かを守るために敵と戦え、殺せといわれても、たぶん何もできない。
そして、そんな僕が一緒に行動することで、君たちの足を引っ張るお荷物になってしまいかねない。
一言一言、噛みしめるように口にする僕の言葉に、少年たちはそれぞれの表情を浮かべて聞き入っていた。
「逆に、こんな僕でも受け入れてくれますか?」
我ながら情けないとは思うが、僕はそう問いかけてしまう。
シリルが短く笑って肩をすくめた。
「やっぱり、お人好しのボンボンじゃねーか」
その言葉にいくつかの笑いが続く。だが、それは
ラースが口を開く。
「確かに人が良すぎるかもしれない、それも危ういくらいに」
まだ、互いの
それが本人にとって不利になる可能性が大きいとしても。
「──だが、そういう存在が、俺たちには必要だとも思う」
ラースの言葉を受けて、ツァーシュが小さくため息をついた。
「ここにいる奴らの大半が
「……一緒にされるのはいささか不本意だが」
「はぁ……
ボサボサ髪の少年が呟いた言葉に僕は驚いた。彼が口にした言葉が、僕が知っている日本語とまったく同じだったからだ。脳内での変換が無く、ダイレクトに理解できた。
立ち上がったアストルが、そっと僕の横に膝をついた。
「……私たち《星の聖戦士》と呼ばれる存在が、こうやって一箇所に集まったのも、なにかしらの導きめいたものを感じます」
そう言って、アストルが差し出してきた手を反射的に取る僕。
アルバートが口笛を吹いた。
「よっしゃ、これで《星の聖戦士》も八人目やな。《
《九星》──
「私が《
胸に手を当てて金髪の貴公子が僕に頷いて見せる。
続いて、他の少年たちも彼に続いた。
「《
「おれは《
「あらためて、《
「《
「我はツァーシュ、加護は《
「……《
最後の一人、ボサボサ黒髪の日本語を話す少年の名前も判明した。
……本名かどうか怪しいけど。
「僕は
そう言い終えてから一呼吸置いて顔を上げると、少年たちはそれぞれの表情で僕を受け入れてくれた──
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