第11話 ゲームオーバーはすぐそこに
これから何をすべきか、それが今回の
もともと、周囲から期待されないことには慣れていたので、そのこと自体は気にならなかったが、次の行動の目的を見失ってしまい、気持ちが宙ぶらりんになってしまったカンジだ。
「……本当にノンキなヤツだな」
突然、窓際の何も無いところからひとりの少年が姿を現した。
さすがに驚いて、僕はソファからずり落ちかける。
その様子に、
「オマエさ、立場が危なくなっていることに気づいているのか?」
少年はそう言うと、向かい側のソファに腰を下ろして、
「……」
「オイ、なんとか言えよ」
「……名前を教えてくれないような相手の言うことを素直に聞いてもいいのかな、って、思って」
「はぁ? この前のこと根に持ってるのかよ!? 大人げないヤツだな」
「シリル──オレの名前だ。おまえと同じ《
「シリル君……あの時、もう一人いたよね。彼も同じ《星の聖戦士》なの?」
「君づけはやめろ、呼び捨てでいい」
シリルはむず痒そうな表情を浮かべて訂正する。
「もうひとりはアルバート、今は外で誰か来ないか見張ってる」
そう言うと、シリルは卓上の菓子を全部つかみ取ってポケットへとしまい込んでから、ポットを取り上げて勝手にカップへお茶を注いで口に運ぶ。
僕はその振る舞いには触れずに、身を乗り出して尋ねた。
「二人とも
「加護の力……ああ、オレは《
「そっか……」
そう呟きつつ僕が考え込むと、シリルは少し
「あー、まー、加護の力については気にしてもはじまらないからな。今はとりあえず、生き延びることを考えた方がイイぜ」
「──って、生き延びる、ってどういうこと?」
「ようやく本題かよ」と、小さく
「次の《聖戦士召喚》の
「ああ、どうせ役立たずなんだから、
僕は、小さくため息をついてから、真面目に考え込む。
「……まだ死にたくはないんだけどなぁ、どうしたらいいのかな」
口を開きながら、思っている以上に思考が冷静になってきたことに僕は驚いていた。自分はそんなに度胸が
もっとも、シリルの方は、そんな僕の内心を知る
「意外と
そう言うとシリルは立ち上がり、座ったままの僕を見下ろすようにして片手をかざす。
「とりあえず、そこにある本を開いて読む振りをしろ」
シリルの
「そのまま立ち上がって、こっちにこい」
「あ、ああ……って、ええ!?」
シリルの言う通りに立ち上がると、座っていた場所に、もう一人の本を読んでいる僕の姿が残っていた。
「こ、これって……」
動揺する僕に、シリルが
「これがオレの加護、《月の加護》ってヤツ。ついでにいうと、今、オレとアンタの姿は他の人から見えなくなってる」
その言葉に僕は両手を目の前に挙げてみた。言われてみると、なんとなく表面にうっすらと奇妙な光が見えるような気がする。
ふと、思い出して、部屋にある鏡へ視線を向けると、そこには僕とシリル、二人の姿は映っていなかった。
「すごい……これなら誰にも見つからずに逃げ出せる」
「そんな簡単な話じゃねぇ」
僕の
「姿を消すのも無制限ってワケじゃない。それに、そこに残したアンタの
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