第69話うどんアタック!
昨夜は堅い床で正座と散々な目にあってしまった。
最後の方に「あー、アイス買いにいけないから今度からアイスの補充たのもうかなぁ」って言ってみたら
「そ、それとこれとは話は別だよ!お兄ちゃん。一回冷静になって考えようよ、ね!」と慌てていたのでこのくらいで勘弁しておこう。
転校生の4人の内一人はうどん娘だということが判明したが他の3人は変な目的で転校したってことはないと思いたい。
うーん、校門に見たことあるような人物がいるけど無視しようとしたら捕まった。
「ちょっと、無視しないでくださいよ。」
と僕の腕をつかむのはうどん娘である。
この時間は登校する生徒もすくない。
サードのフラペチーノのおかげで大体の生徒は遅刻ギリギリで登校してくるというのが当たり前になっている。
「早く腕を離さないと大声で叫ぶよ?」
びくっとして僕をつかむのを止めたすきを狙ってダッシュしようとしたのだが今度はシャツをつかまれた。
「私の話を聞いてくれるまで離しません!」
というものだから困ってしまう。
「よし、話を聞くことにしよう、まあ断ることは確定だけどね。」
一瞬ぱーっと明るくなった表情は瞬時に崖から突き落とされたかのような絶望的な表情へと切り替わった。
表情が一瞬にしてコロコロかわるのだから面白い。
「なんで私だけ意地悪するんですか!」
「いや、だからうどんに興味はないので、CMガンガン打って頑張ってください!」
「それじゃダメなんです!お願いしますぅ!」
なんていう駄々っ子なんだこのうどん娘は・・。
うどんのようなコシの強さに僕は態度に根負けした。
よし、あれだ適当に相談のってるふりしてやり過ごそう。
「いいかげんにしてください、話聞くからお願いします。」
「本当ですか?」
「もちろん」
ということでうどん娘に連れられてどこかの部室へ入っていった。
料理研究部と書かれているので、そんな部活があるようだ。
「現在うどん戦国時代なのです!ラーメンは小鳥遊さんの一強で歯が立たないと思った人たちが、どんどんうどん屋になったせいで乱世がおこっているのです。」
「へぇーそうなんだね・・・。」
「チェーン店ならではのノウハウを生かして頑張ってきたのですが新しい店が太郎の麺をうどんに変えたようなのを販売し始めて、物珍しさからお客さんが流れて行ってしまっている状態でして・・・。」
「あー、そうなんですねー。」
太郎のうどん麺なんて、うどんが伸びてデロデロになっておいしくなさそう。
家太郎研究家こと野口君も食べたことがあるのだろうか、聞いてみたいような聞いてみたくないようなそんな感じである。
途中からあまり話は聴いてなかったが、お店の売り上げが落ちて大変だから起爆剤が必要だみたいなことだろう。
うん、ますます興味がないぞ。
「あ!そろそろHRが始まる時間だから行かなきゃ!じゃあね!」
僕は学業を疎かにするわけにはいかないのだというように素早く椅子から立ち上がりささっと廊下を移動し逃げたのだった。
この時間は登校ラッシュで廊下中に女子が溢れかえっていて廊下を歩くのも大変だ。
誰だ!人込みに紛れて僕の尻を揉んだやつはぁ!!
この人ごみの中気が付かれないように揉みしだくとか手慣れてやがる・・・。
くそぉ、揉まれるよりも揉みたいのだがそれをやってしまえば僕は女生徒に集団で襲われかねないからできないというのに。
へとへとになりながらなんとか自クラスにたどり着き席に座るとどっとつかれてしまった。
女子は朝から元気だなぁ。
透明なカップ片手にスマホで自撮りしてスナグラにアップ。
もちろんハッシュタグは忘れずにつけている。
朝活サード女子というわけわからんハッシュタグが流行っているようだ。
朝にうどん娘に絡まれてクタクタなのでお昼は甘い甘いジャムパン様でもいただきますかと購買部へ行くと今日もジャムパン様が残っていた。
お姉さんのオマケをしっかり受け取り保健室へ向かう。
そうだ、太郎うどんバージョンの話を野口君にふってみよう。
「野口君はうどん屋で太郎に似たもの食べたことある?」
「そんなのは太郎じゃないから興味がない。やはり太郎といえば―」
「あ、そうなんだ。」
太郎の話をしたら野口君のマシンガントークが止まらなくしばらく太郎の話がつづいたくらい、うどんに興味がなかった。
「え?うどんなのに太郎!なにそれ!」
うん、鈴木君は食いつきが良いなー。
僕は検索しておいた画像を見せると
「見た目は、野菜モリモリで太郎っぽい!」
見た目は一緒なんだけど、感想を見てみるとそんなにおいしくないみたいだ。
うどん好きな層とラーメン好きな層は好みが違うのでラーメンで成功したからといって、うどんで成功するわけがないのだ。
というか自分たちで食べていけるとでも思ったのだろうか。
こういういろものに負けそうになっているのだからうどん娘の店は大したことはないな。
うどんに興味なさすぎる僕は辛口だった。
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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